SEED編 旅立ち
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…!」
道理で通信機が通じない訳だ。単純すぎる理由に、俺はたまらずため息を吐き出す。
「そうなりますなぁ。それであの赤子でございますが、もしよろしければわしらが引き取りましょうか? あの子には強力な竜の加護があるように感じますので、将来有望なのですじゃ」
「竜の加護?」
「はい、わしらの種族は竜と共存していく生き方を貫いております。あの子の生まれがわからなくとも、竜の加護があればわしらの同族も同然。なので家族として接する事にためらいはありませんのですじゃ」
「そうか……では、任せてもいいか?」
「もちろんですじゃ、お若いの。今日はあなたのような者と、新たな家族に出会えた喜びに感謝を捧げましょうぞ」
そういう訳で赤子……“キャロ・ル・ルシエ”はこの集落に向かい入れられる運びとなった。彼女がこの先どう生きるかはあずかり知らないが、せっかく助けたのだからせめて俺や魔女のような目に遭わず幸せに生きて欲しいものだ。
「さて……どうして俺はアルザスに来てしまったのかな、と……」
世界を渡った“足”であるバイクの次元転移システムを調べると、原因はすぐにわかった。なぜなら……、
「しまった。目的地の座標、設定し忘れていた……」
俺にあるまじき凡ミスだ……。居心地の良い環境に居過ぎて、感覚が鈍ったか? 猛省せねば……。
気を取り直して目的地にミッドチルダの座標を設定し、ルシエの里に別れを告げて改めて出発する。今度は5分程度で世界移動が完了し、ミッドチルダに到着した。今度はさっき考えていたような都会らしい街並みではあったが、意外にも地球の都会と建築様式ではそこまで大差が無かった。そして……、
「またか!」
目の前でボンネットが炎上している自動車を発見。勢い余って近くの建物に突っ込んだ大型車との衝突事故のようで、周りには野次馬が大勢いるが、誰もがこの炎を前にして物怖じしていた。やれやれと思いながら即座にバイクを停止させ、ガソリンに炎が燃え移る前に搭乗者の安否を確認しに向かう。
衝突でひしゃげて開かなくなったドアを強引に引き剥がして自動車の内部を見るものの……運転手は何故か実弾を脳天に撃たれて即死していた。助手席にいた女性も身体の左半分が衝突時の衝撃で潰されて動けずにおり、まだ息はしているが助かる見込みが無かった。
「む……すめを……! ティ……ア……ぁ……を!」
「………!」
後部座席にはオレンジ色の髪の少女が奇跡的に目立った怪我も無いまま気絶している。ただ、少女の母親は既に明確な意識や思考が出来ない出血量だ。自分の死を目前にしてもなお、無意識下で娘の事を第一に告げてくるとは……母親の強い意思に尊敬の念を抱く。
彼女の執念を無駄にしないためにも、すぐさま少女を抱えて自動車
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