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リリなのinボクらの太陽サーガ
SEED編 旅立ち
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の獣は大きな音に敏感だ、当然こちらの存在に驚いてほとんどの動物たちが我先にと逃げ出す。俺もこういう生態系を無闇に乱すような真似は避けたかったのだが、急いでいるから内心で謝罪しておく。

グルルルルル……!

「ひゃあ! びゃあ! ひえっ!」

何とか見つけたものの、ダンボールの中で羽毛にくるまった赤子の傍には、腹を空かせて涎を垂らすクマのような外見の猛獣がいた。今にも襲い掛かりそうな猛獣に、一刻の猶予も無いと判断した俺はアクセルペダルを更に踏む。

グォォオオオオオ!!

未だに泣き止まない赤子を喰らおうと、一気に飛び掛かる猛獣。その強靭な爪が生まれて間もない命を食物連鎖の中に引きずり込もうとした瞬間、バイクを走らせながら俺の手はダンボールの中から羽毛を掴んで赤子を引っ張り、抱え込む。刹那の差でダンボールが超重量によって押し潰され、猛獣は獲物にありつけなかった悔しさのこもった雄叫びを上げる。

「キャッキャッ!」

「こちらの焦りも知らないで……赤子はのんきだな」

猛獣が追い掛けて来ない事を確認しながら、無邪気にはしゃぐ赤子の様子にため息を漏らす。
それにしても……つい思わず助けてしまったが、これからこの子をどうしよう? 連れて行く? いや……寿命が残り僅かな俺が連れて行くのは色々と不都合だ。となるとどこかの街や村、集落でこの子を育ててくれるように頼むしかないか……。

子連れ狼? じゃあこの子の名前は大五郎か? 言っておくが、この赤子は女の子だぞ。

全く……いくら何でも森の真っ只中に子供を捨てなくともいいだろうに。余程思い詰めていたのか……いや、それとも何らかの事故に巻き込まれたのか? この世に生を受けて早々、この子も大変だな……。

しかし、このバイクがオフロードも走行可能で良かった。道なき道を走り続けて30分、ここまでエンストやパンクが起きる気配が一切なく、すずかのメンテナンスが行き届いている事にかなり感謝した。
そのおかげでバイクはとある小さな集落に無事たどり着き、突然現れた俺達に集落の人間は驚いていたものの、赤子がいる事で話を聞いてくれる姿勢を示してくれた。そこでこちらの事情……ミッドに行く途中だったが、どういう訳かここに降り立ち、赤子の泣き声が聞こえた事で急いで助けた事を伝えた。赤子に関しては詳細を一切知らないが、助けたから引き取ってくれる所を探しているとも話した。
それらの話を聞いた集落の長老は、ゆっくりと一つ一つ語りかける様に説明を始めてくれた。

「なるほどのぉ……まず若いのに伝えておかなければならないのは、ここはミッドチルダではないですぞ。第6管理世界アルザス、わしらはその地方少数民族“ル・ルシエ”という者達ですじゃ」

「何だと!? という事は俺は降り立つ世界を間違えたのか…
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