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リリなのinボクらの太陽サーガ
SEED編 旅立ち
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たのだった。




次元世界を渡る道には星の光も無く、光の道以外には光点が一切ないどんよりとした空間が続いていた。宇宙空間と同じように人間が生身でいるにはあまりに過酷な環境の中でも、バイクが周りに張っているバリアのおかげで俺の身体は何ともなかった。

「む? あれは……」

ミッドに行く途中、次元空間の中を謎の巨大な施設が漂っているのを目の当たりにした。どうやら廃棄されて久しいようで、外装は崩壊や風化がかなり進んでいる。しかし施設に使われている技術は地球上では見たことが無く、次元世界の技術がどれほど進んでいるのか、こうして末端を見るだけで驚くべきものだった。

「十中八九無人……だろうな。こんな所に住むような人間がいるとは思えない」

断言した俺はバイクの速度を上げ、廃棄施設を背に走り去った。





その頃、施設最深部。崩壊した外装とは裏腹に最新鋭の設備がある部屋の中央にて、紫色の髪の男は一人、先程通り過ぎていった彼の事を呟いていた。

「ふむ……あのバイクに使われている技術、見たことが無い。もしや彼が第97管理外世界、地球で発見された異世界の暗黒の戦士かな? ほうほう、こうして見ると中々不思議な雰囲気の少年だ。“無限の欲望”である私が久しく興味を抱く存在に出会えるとは! まだまだこの世界も捨てた物では無いね! よし、そうと決まれば娘達に頼んで少し探ってもらうとしよう!」

男はすぐさま自分が作り上げた娘達に連絡を取り、動き出した。
彼の名はジェイル・スカリエッティ。後に次元世界全体を震撼させる科学者である。







着いたか……ここがミッドチルダ……。地球の都会よりはるかに進んだ技術で作られた機械や建物が至る所にあり、街を行き交う人間は最先端のファッションを着こなし、あらゆる場面で魔法の光が見られる。そんな場所を想定していたのだが……、

「まさか緑一色とはな、初っ端から予想を裏切られたよ」

どうやらバイクの出口が森林地帯に通じたらしく、都会とは真逆の場所にたどり着いたようだ。とりあえずミッドに着いたなら連絡してくれとリーゼ姉妹に言われているため、彼女達に通信機で連絡を送る。

ザザッ、ザザ〜ッ……。

「? ……通じないな、どういう事だ?」

この通信機は次元世界間でも通じる程の性能じゃないが、同じ世界にならどこでも通じるはずだ。ここがミッドチルダなら、例え森林地帯でも問題ないのだが……。

「びゃあっ! ぎゃあっ! ひぇんっ!」

む、これは泣き声? しかも赤子の……どうしてこんな人気が無い場所に? ともあれ、ジャングルで大声を出すのは明らかにマズい。いくら人間の赤子でも肉食動物なら容赦なく糧としてしまう。
俺はバイクを走らせ、声の下へと急ぐ。森
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