第3章 新たなる好敵手
第16話 決意する2人
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「最初に会った時、あいつは去り際に、誰かと会話してるような口ぶりで喋ってたんだ。その場には、俺とあいつ以外に誰もいなかったのに」
「……どう言う事?」
「分からない。俺は敵が複数いるんじゃないかと思ってる。昨日も普通じゃない能力を使ってたみたいだし、離れた仲間と交信する能力があるなら、その独り言にも説明がつくだろ?」
「そんな……1人だけでも強敵なのに……仲間までいるなんて……」
「でも、負けられない。フレスヴェルクをあいつらに渡すわけにはいかないんだ」
そんな遊雅の決意表明にも似た言葉に対する亜璃沙の返答は、彼に対する激励ではなく、むしろその逆の言葉だった。
「ねぇ、遊雅……そんなに《フレスヴェルク・ドラゴン》に拘る意味があるの?」
「……どう言う意味だ?」
口ではそう問いかけた物の、遊雅は亜璃沙が言わんとする事を既に理解していた。
何しろ、似たような事を母親から既に言われている。家族のように親しい亜璃沙ならば、母親と同じように自分の身を案じて、同じような提案をして来るだろうと分かっていたのだ。
それでもあえて分かっていない振りをしたのは、遊雅にとって一種の意地のような物だった。
「自分が危険な目に遭ってまで、あのカードを使わなきゃいけない理由があるの?確かに強いカードだけど、遊雅が買ったあのシンクロモンスターだって、十分に強いじゃない。それだけじゃ、駄目なの?」
その問いに、遊雅はすぐには答えられなかった。
何しろ遊雅自身にも、明確な理由があるわけではないのだ。
しかしそれでも、彼に引き下がる気は微塵もなかった。
「俺にも分からない……でも、フレスヴェルクは絶対に誰にも渡しちゃいけないって……そんな気がしてならないんだ」
それは明確な根拠に基づいた物言いではない。
あえて何かの言葉に当てはめるとすれば、それは『第六感』とか、『直感』とか、そう言う類の物だった。
「確かに俺も、どうすればいいかなんてわからないけど……でも、出来る限りは戦い続けたいんだ」
遊雅は《フレスヴェルク・ドラゴン》が自分にとって、ひいては自分以外の誰かにとっても大切な存在である事を確信していた。
父親から明かされた真実、そして、デュエルで彼の竜を使役した際の遊雅に対する態度、昨夜のバラムとのデュエルでの出来事。
それらを自分の耳で聞き、自分の目で見て来た遊雅は、もはや《フレスヴェルク・ドラゴン》は自分と無関係だとは言えなかった。
「……何を言っても無駄、って言うような顔してるわね」
「悪い。いくら亜璃沙でも……いや、例え母さんや父さんだったとしても、これだけは譲れない。許してくれ」
「分かったわ。でも、もし私にも役に立てそうな事があったら教えて。あなただけにそんな危ない事はさせられな
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