第3章 新たなる好敵手
第16話 決意する2人
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れたこの場所は、キャンプだけでなく、登山も楽しむ事ができるのだ。
間もなく、一同は施設の職員、並びに教員の引率に従って、登山を開始する。
別に、規則的に1列に並んで山道を行くわけではない。生徒達は集団から著しく離れない範囲内で、比較的自由な隊形でいて構わない。
故に、縦列でも横列でもない不規則な隊形で後ろを歩く生徒達を、引率者達は咎めようとしなかった。
そして遊雅達第2班の面々もその例に漏れず、各々が自由気ままに、昨日散策した森とはまた違った姿を見せる森の様子を観察しながら歩いていた。
「山登りって結構足に来るんだねぇ……ちょっと辛いかも」
「下りはこれより楽になるかなぁ?」
「いや、下りって上りより辛いらしいぜ?俺も経験した事ないけどな」
「えぇ〜、南雲君、それほんと?やだなぁ……」
男性陣は年相応の好奇心を満たすような事を、注意を受けない範囲で行っていた。
一方で女性陣は、自身の体にかかる負担を鑑みて、登山と言う行為にいかばかりか不満を抱いている様子だ。
今回の登山は、山の中腹にあるコテージで2時間の自由時間を過ごした後に、再び山頂に向けて出発すると言うスケジュールで行われている。
「まだ10分かぁ……ちょっと長いなぁ……」
1人の女子生徒が、再び不満を口にする。
生徒達は事前に『コテージまでは30分近くかかる』と聞かされている。
女子生徒の言葉通り、登山開始から経過した時間は10分。まだ3分の1を消化したに過ぎなかった。
「疲れた疲れたって考えてると、余計に疲れるぞ?誰かと会話したり、周りの様子を観察したりしてたら、残りの道のりなんてきっとすぐだぜ」
「遊雅にしては珍しく共感できる意見ね」
「珍しく、は余計だけどな」
「はいはい。あっ、ほら見て、リスがいるわ!」
「わぁ、ほんとだ!可愛い〜!」
亜璃沙の協力によって女子生徒が復活した事を確認して、遊雅は再び秋弥や他の男子生徒との会話に戻り、残りの道筋を消化して行くのだった。
◇◆◇◆◇◆◇
山の中腹に建てられたコテージは、昨晩宿泊した施設ほどではないものの、中々の大きさだった。
流石に2クラスの生徒全員が室内で休憩するには手狭だったが、外にもベンチや東屋が設置されていたので、60人程度ならば窮屈に感じる事無く休憩出来た。
先程、同じ班の女子にはああ言ったものの、初めて経験する登山は遊雅にもそれなりの負担をかけていた。
とはいえ、消化した道のりはまだ半分程度。後半に備えて、遊雅は東屋の中にも備え付けられたベンチで体を休めている。
テーブルの上に手を置いて大きく息を吐いてから、遊雅は何となく、左手首に装着したデュエル・ディスクに注視した。
そして思い出す、昨日の出来事。
『これで終わったと思わない事だな……!』
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