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竜のもうひとつの瞳
第十六話
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体何を喋ってくれてるんだ。
もうこの際俺の話題を出すのは良いが、変なことだけは触れ回らないで貰いたい。

 「……一体何を言っていた」

 「食事はきちんと摂っているのか、睡眠時間を削って仕事をしていたりしないか、
逃げた事で苦労しているのではないか……そんなことを」

 一つとして反論出来るものが無く、俺は溜息をついた。過労で倒れているだけあって返す言葉も無い。
でも、出来ればそういう話は内々に留めておいて欲しかった。
まぁ、きっと俺がこうして会うことも無いと思ったからこそ言ったのかもしれねぇが。

 「……おい、小十郎。何を暢気に話してやがる」

 しびれを切らした政宗様が苛立った様子で俺に声をかけてくる。
流石にこれ以上は話している暇もないだろうと、軽く礼を述べて切り上げることにした。

 「……それじゃ、また改めて礼を言いに伺う。落ち着いたら姉上を連れて」

 「いつでも遊びに来るよう伝えて下され。歓迎すると」

 本当に好かれてるんだな、姉上は。……大丈夫なのか、あの人は。
変なところで手篭めにされたりしねぇのか? こんな調子で……。

 俺が退けばそれが合図とばかりに政宗様は真田目掛けて攻撃を仕掛けていく。真田もまたニ槍を振るって政宗様に応戦している。

 そんな様子を眺めながら、全く事情が分からずに俺に問いかけてくるこちらの連中にどう返したものかと考えていた。

 この際本当のことを言っちまうか。変な噂になる前に。面倒になって、そんな風にも考えていた。
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