第十六話
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案をして下さい。それは正気の沙汰とは思えませぬ」
「おい、言うに事欠いて正気の沙汰とは思えねぇとは何だ。これでも俺はきっちり考えたんだぞ?」
この発言には流石に耐え難くなって反射的に怒鳴っていた。
「考えてそれなら尚悪いではないですか!
それを実現するために、一体どれだけ事前にやっておかなければならないことがあると思っているのですか!!」
……復帰して早々にこれでは先が思いやられる。どれだけ諌めたところで政宗様の中ではもう決定事項なのだろう。
しばらく仕事に追われて眠れない日々が続く。また倒れなければ良いんだが。
結局これは予想通り決定となってしまい、戦に赴くまでの間にしなければならないことが山積みになり、
また極端に睡眠時間が取れない日々が戻ってきてしまった。
当然良くなりかけていた体調は再び悪くなり、ただでさえ痩せたと言われていたのに更に細くなったと言われ、
夕殿はおろか阿修羅のような大姉上にまで心配されている。
こんな状態で倒れないわけがなく、心配していた通りに引っくり返って養生を余儀なくされてしまった。
そして体調も整わないまま、武田と上杉が激突するであろう川中島へと向かう事になった。
ちなみに忙しくて挙げられず仕舞いであった祝言はその後ということになっているのだが……生きて帰れるだろうか。
このままだと過労死するような気がしてならねぇ。
さて、川中島へと踏み込む直前、甲斐の将と思われる政宗様と然程変わらないほどの年頃の男が立ち塞がってきた。
どうやら俺達が武田と上杉の勝負を邪魔するのを食い止めるために現れたらしい。
デカイ声で喚かれ声が頭に響いて不愉快ではあったが、妙に殺気立った様子に俺は違和感を覚えた。
……あの野郎、足止めが目的と言っていたはずじゃ。なのに何であんなに殺気立ってやがる。
「貴殿が奥州の独眼竜、伊達政宗か! 女子を手篭めにしようなどという愚劣な行為、
断じて許すわけにはいかぬ! この真田源次郎幸村が成敗してくれよう!!」
思わぬその言葉にこちらの軍がどよめいている。政宗様はといえば、顔を引き攣らせてそいつを見るばかりだ。
そりゃそうだ、誰にも話さなかった機密事項が何故だかこんなところに漏れているのだから。
「Wait! ちょっと待て!」
何でお前がそんなことを知っている、とは言わなかった。
それを言ってしまったら事実だと認めるようなものだから、必死に政宗様も抑えたのだろう。
いや、そんなことよりも一体何処から漏れた情報なのかを今は知りたい。
「何なんだ、その話は」
半ば震えた声で聞き返す政宗様に、真田とやらが深く眉間に皺を寄せて喚き散らしてきた。
「小夜殿から聞いたのでござる!
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