1部
38話
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容は、彼女から最悪とも言えるものなのだから。
掲示板には
日向ヒナタ、日向ネジ
その両名の名前が記されているのだから。
「あのさ、これってネジに今すぐ棄権するように言った方がいいかな?」
「それを私に言うのか?安心しろ、こういう事態になった時にどうするかはネジに言ってある」
「えっと……自害しろ、とかじゃないよね?」
「はぁ……一応言っておくが、私はそこまで愚かでも外道でもない」
その言葉を聞いた彼女は取り敢えず一安心というような表情を浮かべて、密かにポーチから取り出そうとしていた巻物をしまった。
どうやら最悪腕ずくでも私の動きを封じるつもりだったらしい。
仮に私が今より幼ければそういう事態に発展しただろうが、私とてヒナタへの態度は改めているのだ。
確かに、私にとってヒナタはあらゆる優先順位の最も上にある。それに関しては今も、これからも変わることはないだろう。
以前の私は彼女を大事にしすぎるあまり、彼女を宝石か何かのように扱っていた。しかし、それは彼女に対しての侮辱とも言える態度だった。
それではダメなのだ。彼女は一人の人間だ。人には太陽だけでなく、時には北風も必要だという基本的な事すら、かつての私は失念していた。
それでも、私はヒナタの北風となる事は出来ないのだろう。たった一度だけ、その手の行動を取った事があるのだが、数日間自己嫌悪で食事が喉を通らなかった。
その時にネジにとある約束をしたのだ。
「じゃあ、この試合は少し心穏やかに見れるかな?」
「……いや」
「え?」
ヒナタとネジが下に降りて、向かい合いながら試合開始を待つ。
ヒナタは少し恐怖の感情を抱いている事が見て取れるが、一方ネジの方は一切感情の動きはない。
「両者、よろしいですか?」
試験官が2人に確認を取ると、ネジが声を上げた。
「少し待ってくれ」
「分かりました。ですが、何かするのでしたら手早くお願いします」
「ああ。ヒナタ様、先に言っておく事がありますが、よろしいですか?」
ヒナタは少しビクリとしてから、静かに頷いた。
「俺は宗家、分家に関してどうこう言うつもりはありません。
生まれの不幸を呪って悲劇のヒロインを気取る事が、いかに無駄な事だと学びました。それに、貴女にも貴女なりに宗家の娘として苦しんでいるのでしょう。
しかし……」
ネジはそこまで穏やかな口調で言った後、白眼を発動させて怒りに満ちた表情でヒナタを睨んだ。
「いつまでも他人の顔色を伺い、何かに怯え続け、立ち止まり続ける貴女がヒジリ様の妹であるという事が、俺にとって何よりも許せないんですよ。
これが俺個人の八つ当たりであり、子供染みた感情だとも分かっています。ですが、これは理性でどうこうなる感情ではないんです。
それに、貴女と戦う
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