1部
38話
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完全な一すら打ち破る、親父殿からの数少ない教えだ。事実その通りだと私は考えている。
だが、逆説的に言えば調和せざる二つは不全なる一にすら破れる、という事でもある。
果たして、犬塚キバとあの犬は真に調和できているかな?
「勝者、うずまきナルト」
観客席は一時騒然となり、ナルトは傷だらけにこそなっているが悠々と上に登ってきた。それと同時にヒナタは彼に塗り薬を渡し、彼と楽しげに語りあっている。
いやはや……本当にいいものだ。ああいう光景は思わず頬が緩んでしまうな。
「ヒージーリ、にやけてないで説明お願い」
「……だから、君はどうして仮面越しに私の表情が分かるのだ?
まぁ、それはいい。二人とも先程の試合を見てどう思う?」
「そうだね……ナルト君が私の思っていたより、ずっと頭がいいって思ったかな?術の数こそ少なかったけど、局面に合わせた術の使い方は目を見張るものがあったと思うよ」
「俺も似たような感想じゃん。けど、付け足すとするなら傀儡造形師に求められる素質があるって点じゃん。造形師に求められるのは仕込みの隠し方、つまりどれだけ相手に仕込みを悟らせないかじゃん。
言ってしまえば傀儡ってのはびっくり箱だ。造形師はどれだけ相手を驚かせるか、騙くらかすかってのに何日も、下手すりゃ何年も考えるじゃん。
けど、あのナルトって奴はごく自然に変化で犬っころと入れ替わって騙した、しかも即興かつあの自然さでだ。
ありゃ、一種の才能じゃん」
両者とも忍具を扱う忍だけあって、ナルトへの評価は実に正確だ。
「おおよそ二人の評価は正しい。私の言うナルトの才能とは瞬間的な発想力、言うなれば対応力とでも言うべきものだ。
あれは危機的状況に対して教科書的な状況を凌ぐ百点の対応ではなく、状況を打破し、かつ逆転すらも可能とする百二十点とも言うべき解を導きだす。
事実、ヒナタとの連携ありきとはいえ、私が相手をしていた相手ではサスケよりも手間取らされたのはナルトだ」
「サスケ君より手間取ったって……」
「事実だ。ナルトは変化による撹乱、影分身による陽動によって、時として私の眼すら欺くのだ。彼は意外性ナンバーワンと言われるが、あれは蔑称ではなく尊称なのだよ」
私は内心でナルトの中の住人からの実質無尽蔵のチャクラ供給もある、と付け加えておく。
二人は驚いた表情を浮かべつつ、私とナルトの方を見比べた。二人のナルトを見る目は、評判より優秀だった落ちこぼれを見る目から、サスケのような抜きん出た才能を持つ者を見る目へと変わっていた。
だが、試合の後処理が終わった瞬間、テンテンの表情が凍りついた。そして、ギギギとでも擬音の付きそうな首の動きで私の方を見た。
……彼女の言わんとする事は私にも分かる。何しろ掲示板に表情された次の試合内
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