四十三話:Are you prepared to destroy the world for the sake of a girl?
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言葉にルドガーはカナンの道標を取り戻す手を止めてしまう。仕事である以上はここで道標を取り戻さなければならない。ルドガーも頭では分かっている。しかし、心では、このままユリウスに言われるがままに止めてしまいたいと思っている。そんな情けない自分の覚悟にルドガーは激しく自己嫌悪する。
ユリウスの言葉は何としてでも弟を止めるために厳しいものであったが、それらに嘘偽りなどない。その全てをユリウスは壊してきた、心をすり減らしながらも必死に壊してきたのだ。だからこそ、そんな思いを大切な弟にはして欲しくないから止めるのだ。最も、真にルドガーを遠ざける理由はまだあるのだが。
『よお、ユリウス元室長。元室長はこういう若者の邪魔が趣味だったな』
『ちっ、リドウか……話すな!』
その時、イバルを引きつれたリドウがルドガー達の前に現れ何かを知っているのか兄弟の会話に割り込んでくる。そのことにユリウスは普段の行いからは決して考えられないような舌打ちをして、リドウに口止めをしようとする。しかし、リドウはその反応を見てニヤリと笑い実に楽しそうに話を続ける。
『例えば……ルドガー君が入社試験で不合格になるように仕組んだりさ』
『……え?』
言われた意味が分からず、呆然とするルドガーだったが、すぐにその意味を理解してユリウスに詰め寄り、抗議の声を上げる。
『本当なのか、兄さん!? 俺が百社以上就活で回ることになったのは兄さんのせいなのか!?』
『あ、あれは……とにかく、百社以上回ることになったのはすまないと思っている』
『あの、時刻表とルルの肉球だけがオアシスだった俺の就活期間を返せ!』
ルドガーは真剣に怒りをあらわし、ユリウスも相当ばつの悪そうな顔をしている絵面だけ見ればかなりの修羅場なのだが、ルドガーの発言のせいで見ている者は若干気が抜けている。そんな様子にけしかけたリドウも微妙そうな顔をして兄弟の様子を眺める事しか出来ない。
黒歌達はそんな様子を見ながらもルドガーの入社試験の時にユリウスが呟いていた言葉の真意を知る。ユリウスはルドガーが骸殻能力者であることを知っており、分史世界に関わらせないためにワザと試験に落とすように細工したのだと考える。しかし、この考えはあっているようで、まだ真実が隠されていることに黒歌達もルドガーもこの時は気づけなかった。
『さて……室長として命令するぞ、ルドガー君。ユリウスを倒して、カナンの道標を回収しろ』
気を取り直したリドウがそうルドガーに命じる。その命令に戸惑うルドガーとユリウスをを見ながらリドウはこんなにも愉快なことは無いとクツクツと笑う。腐れ縁とも呼べるムカつく相手をその弟を使って傷つけられるのだ。ルドガーはリドウの命令に一瞬悩みながらもユ
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