四十三話:Are you prepared to destroy the world for the sake of a girl?
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なの……今の?』
『ミ……ラ?』
その場にいるはずの無い声に、ルドガーはあり得るはずの無い名前をかすれた声で紡ぐ。しかし、彼女は彼の目の前に現実として存在した。しっかりとエルと手を繋ぎながらこの正史世界に。そのことに訳が分からないルドガー達と黒歌達であったがただ一人ユリウスだけは、やはりと心当たりがあるように呟く。
『姉さんはどうなったの!? 何が起こったのか説明してよ!』
『……お前の世界は、俺が壊した』
その言葉に訳が分からないミラであったが一つだけ分かったことがあった。ミラは拳を握りしめ、振り上げてルドガーの頬を全力で殴りつけた。ルドガーはそれを甘んじて受け入れる。全ては自分が彼女の世界を壊したのがいけないのだから。
『私を騙したのね!』
『やめて、ミラ! ルドガーの仕事なんだよ!』
『エル、いいんだ。俺はそれだけの事をしたんだ』
事情を知るエルがルドガーを庇いに入るがルドガーはそれを制止する。しかし、そんな事でミラの怒りが収まるはずもなく、怒りの言葉を吐き続ける。
『ふざけないで! 世界を壊す仕事なんてあるわけ―――』
『あるんだよ、それが』
ユリウスが間に入り、ミラの言葉を止めさせる。ルドガーやエルであれば仕事と割り切れていない甘さがあるために止められなかったがユリウスは違う。百以上もの分史世界を破壊してきた彼はこれ以上の苦悩をしてきた。
その為に仕事と割り切ることもでき、また正史世界の為ならどんなことでも出来る覚悟がある。その為にその言葉は重く、ミラの怒りを押し止めることが出来たのだ。最も、その事はまだ誰も知らないのだが。その後、ジュードから連絡を受けたルドガー達は一先ず、ニ・アケリアで合流することになり、そこで場面は移り変わった。
場面はルドガーが二・アケリアに戻り、合流したジュード達に経緯を説明している所だった。その内容にジュードはショックを受けるがルドガーを責めることはしない。何故なら、最初からミラ諸共世界を壊す気だったからだ。ルドガーは手に入れたカナンの道標をジュード達に見せるために取り出すがそれをユリウスが掠め取る。
『兄さん、何を!?』
『わかったはずだ、ルドガー。また、こんな思いをしたくないだろう。これからも世界を壊し続ける重みにお前は耐えられるのか?』
『でも……兄さんだって』
『ルドガー……お前の優しさは美徳だ。だがな、世界を壊す上では苦しみの原因にしかならない。今回の世界はまだ軽い方だ。お前に壊せるのか? 誰もが幸せな世界を、失われた幸せを享受する友を、かつて救えず後悔した者を、異なる自分を、笑って運命を受け入れる家族を、お前は壊せるのか、ルドガー?』
ユリウスの
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