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ココロコネクト〜六つ目の頂点〜
ヒトランダム
〈ふうせんかずら〉
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声はいつもの明るい声ではなく、どこか暗く冷たい声なように思えた。

「ああ……さすが永瀬さん。で、そんな皆さんを僕が監視するって感じですかね……もっとも、四六時中皆さんを監視しているわけではないですけど……とまあ、こんなところで理解していただけましたかね。」

「説明不足が過ぎるだろ……」

八重樫は率直な感想を漏らす。たしかに、想定していた説明に比べればあるだけましな程度でしかないのは事実だ。

「いいだろう、お前の話に乗っかっていくつか質問してやる。まずなぜあたしたちだ?それからこの現象はお前のコントロール下にあるのか?これを終わらせるには?お前の目的は?」

「いい質問のチョイスをしますね、稲葉さんは。まず一つ目の質問に関してですけど、たまたま皆さんがなかなか面白かったからとしか……」

「何だよなかなか面白いって……」

八重樫はそう言い身に覚えはないようだが、俺は自分の何を指しているのかおおよそ見当はついた。皆さんというからにはおそらく、ここにいる他のメンバーも同じようにどこかしらに欠陥を抱えているのかもしれない。

「それから、まあ適当に入れ替わってもらって、ああそこそこ面白かったなぁという感じになればその時点で終わりますから……」

「ということは、終わりはお前のコントロール下にあるってことだな」

稲葉が〈ふうせんかずら〉の言葉の端を捉えて切り込む。

「……まあ、みなさんあまり気にしないで普通に生活してください。どういう風に入れ替わっているのとか考えるだけ無駄ですから。それに、皆さんがやるべき主題はそこじゃないですから……ああ、それと皆さんが入れ替わっていること、あまり周りに言わない方がいいですよ。言うとややこしいことになりますから……じゃあ頑張ってください、心の上っ面のところでちょっとだけ応援してますから」

そう言い終わると、〈ふうせんかずら〉はもう用はないと言わんばかりに帰ろうとした。
だが、そう簡単に帰すわけがなかった、稲葉と永瀬が。

「まて、こっちにはまだ聞きたいことが山ほどあるんだよ」

稲葉は背中を向けていた〈ふうせんかずら〉をつかみそのまま引き戻した。

「だから、皆さんがすべきことはそういうことじゃないんですよ……」

ドンッ

その音が聞こえた時にはすでに稲葉が吹っ飛んでいた。吹っ飛んだ稲葉はそのまま後ろにいた永瀬も巻き込んで倒れた。

「おい、稲葉、永瀬!」

倒れこんだ二人に駆け寄ろうとソファーを立った時、〈ふうせんかずら〉と目が合った。
その瞳は先ほどまでのただ生気がないものとは違った恐ろしさを含んでいて、立ちすくんでしまった。
八重樫が俺と同じく立ち上がった。しかし、その意図は俺とは違って〈ふうせんかずら〉を引き留めることだった。
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