空白期 中学編 10 「迫り来る夏」
[1/5]
[8]前話 [1]次 最後 [2]次話
日に日に気温が上がり、夏と呼べそうな季節を迎えつつある今日この頃。私、フェイト・T・ハラオウンはふたりの友達と買い物に出かけていた。
「今日は付き合わせてすまんな」
謝罪の言葉を口にしたのは、はやて……ではなく、そっくりさんであるディアーチェだ。出会った頃はよく間違えてしまっていたが、彼女との付き合いも今年で3年ほどになる。また今年から同じ学校に通っていることもあって、顔を合わせることも多くなった。
――間違える回数は大分減ってきたけど……さすがに遠目だとまだ区別がつかないんだよね。背丈も同じくらいだし、髪型もほぼ同じだから。
そういう意味では私とレヴィも同じではあるけど、私達の場合はレヴィが帽子を被るようにしている。話し合って決めたことではないので、レヴィ自身かディアーチェ達が言ってくれたのかもしれない。
「ううん、気にしなくていいよ。私も新しいの買おうかなって思ってたから」
「そう言ってもらえると助かる。レヴィを連れてこられればよかったのだが、ここ最近はユーリ達の手伝いをしているらしくてな」
あのレヴィが……、とも思ったりもするけど、レヴィってああ見えて数学の分野においては誰よりもできるんだよね。前に勉強会しているときに遊びに来たことがあったけど、私達の課題を見て「簡単な問題ばかりだね」って笑いながら言ってたし。
「そうなんだ。頑張り過ぎないといいけど」
「そこは大丈夫であろう。ユーリは抜けているところもあるが、体調管理はしっかりしておる。それに一緒に居るセイバーも無理だと思えば忠告する奴だ。心配になるのは……」
ディアーチェの視線が私の反対側へと向く。そこにいるのは、口元に手を当てながら何やら呟いているメガネを掛けた少女だ。おそらく彼女の職業柄、デバイスに関することを考えているんだと思う。
「シュテル、貴様何を先ほどからブツブツと言っておるのだ?」
「ん、口に出ていましたか。それはすみません」
「別に謝れとは言ってはおらぬが……いったい何を考えておったのだ?」
「それは……ふと試してみたいことが浮かんだので戻ってからのことを少々」
試してみたいこと、というのは、シュテルが研究しているという新型カートリッジ。もしくは、平行して進めているという魔力属性変換をサポートするシステムのことだろう。
ショウも一緒に研究してるらしいけど、学業のほうを優先させるために基本的にシュテルが進めてるんだったよね。ファラが代わりに手伝ってるらしいけど……聞いてた通り、あまり進展はしてないんだ。
ベルカ式だけでなくミッド式も含めたカートリッジシステムの研究が大変なのは、素人である私にも分かる。いや、私が分かる大変さなんてものは微々たるものなのだろう。数多の失敗を繰り返し成功としても、時代と共によ
[8]前話 [1]次 最後 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ