空白期 中学編 10 「迫り来る夏」
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り良いものを求められる。終わりというものが存在していなさそうな道を彼女は歩んでいるのだ。デバイスを使う私達は、彼女を含めた技術者の人達に心から感謝すべきなのだろう。
「はぁ……仕事のことを考えるなとは言わんが、買い物に来ているのだから今しばらくは忘れぬか。ここ最近の貴様は根を詰めすぎておるとユーリ達が心配しておるのだぞ」
「そのようなつもりは…………いえ、そうですね。少し焦っていたかもしれません」
シュテルが感情を見せながら認めるのは少し珍しいかもしれない。
……そういえば、この前ショウが右手に包帯を巻いてたような気がする。詳しいことは聞いてないけど、今のシュテルを見る限りテストで何かあったのかも。
カートリッジシステムは爆発的な魔力を得られるだけに制御が難しいシステムだ。新型となれば誰よりも慣れのありそうなシグナム達でさえも苦労するのではないだろうか。加えて、魔力変換サポートシステムも搭載しているデバイスとなれば、もう未知の領域とも思える。
…………やめてほしい、だなんて言えないよね。
危険性で言えば、戦場に赴く私達のほうが高いと言える。ショウ達だって心配しているはずだ。けれど私達の意志を尊重し、止めようとはしない。
それにショウやシュテル達がやっていることが、私達や未来の魔導師達を助けることになる。私は執務官という道を選び、彼らは技術者としての道を選んだ。進む道は違えど、お互いに戦っている。自分勝手な感情でやめてほしいなどと言えるはずがない。
「ご心配を掛けてすみません。今日は心の底から楽しむことにします」
「ふん、礼ならユーリに言っておくのだな」
「はい。今度会ったときに必ず」
シュテルの素直な感情表現に慣れていないのか、ディアーチェは顔を赤めながら私のほうに顔を向けてしまう。これまで見てきたふたりのやりとりは、シュテルがからかってディアーチェが怒る。といったものが多かったが、内心ではお互いに大切に思っているのだろう。
「それで今日は何を買いに行くのですか? よく考えてみると、買い物をするとしか聞いていなかったので」
「それは水着だ。もうじき学校もプール開き、海水浴場のほうも開かれ始めるだろう。小鴉が行こう行こうとすでに騒いでおるからな。念のため準備はしておくべきであろう」
仕方がないからって感じに言ってるけど、なんだかんだでディアーチェってはやてのこと好きだよね。たまにふたりで出かけてるみたいだし、毎度のように怒ってるけど無視したりしたことないし。はやてからお姉ちゃんって言われたら否定してるけど、内心では手間のかかる妹みたいに思ってるのかも。
「なるほど、先ほど言っていたレヴィの件も納得できました。フェイトを誘ったのは、彼女の分も買っておこうと思ったからですね」
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