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我が剣は愛する者の為に
天の御使い
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の部隊に知り合いが居てな。
 お前を疑うこそすれ、保護して自分の力に取り込むはずだ。」

だが、と言葉を区切って言う。

「出来る事なら一緒に来てほしい。
 賊の三人を斬殺した男について行きたくはないと思うが、それでもできる事なら来てほしい。
 俺はお前の事情を知っているから、この世界について説明する事ができる。
 おそらく、この世界でお前の事を理解できるのは俺だけだろう。
 もちろん、お前の意思を尊重する。
 ついて行きたくなければこのまま残ってくれて構わない。」

男はそう言って手を差し伸ばす。
正直、かなり迷っている。
そもそもこの男の言っている事は信じられるのだろうか?
さっきの男達みたいに今度は俺を怪しい所に拉致して服とか身ぐるみ剥がされて殺されるかもしれない。
でも、さっき言った男の言葉が引っ掛かっていた。
俺の事情を知っている。
それが断る事を妨げていた。
男は依然と手の差し伸ばしている。
後ろには多くの馬に乗った鎧を着た人達がこちらに向かっている。
どちらについて行くにしろ、今の俺には一緒だ。
それなら。

「分かった。
 あんたについて行く。」

事情を知っているかもしれないこの男に賭ける事にした。
俺は男の手を握る。
男はそれを聞いて安堵の笑みを浮かべる。
今までの真剣な表情とは違った優しい笑みだった。
男は片手で俺を持ち上げ、後ろに乗せる。

「しっかり掴まっていろ!」

そう言って男は馬を走らせる。
初めて乗る馬に驚きながら、尻が痛いと感じつつ俺は男にしっかりしがみついた。







「華琳様!」

「春蘭、どうだった。」

「いえ、残っていたのは賊の死体だけで他には何も。」

私は春蘭の報告を聞いて少しだけ考える。
遠目で見ていたがここに誰かが居たのは確かだった。
その者は馬に乗ってどこかに走り去って行った。
今から追い駆けても捕まえる事はできないだろう。

「華琳様。」

隣にいる秋蘭は私に話かけてくる。

「どうしたの?」

「誰だかは分かりませんが、この賊を殺した人物はかなりの使い手かと。」

「ほう、貴女がそういうのだからそうなのでしょうね。」

しかし、この場に居てもとれる情報はほとんどない。
私は部隊を城に戻るように命令して馬に乗り込む。
ふと、幼い頃に出会った縁の事を思い出す。
彼は一体どこにいるのだろうか?
そんな事を考えながら自分の城に戻るのだった。
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