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我が剣は愛する者の為に
天の御使い
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の刃をどかして男は右足が俺の腹を捉える。
二、三メートル吹き飛んでようやく蹴られたというのに気がついた。
何がどうなっている?
ドッキリにしてはやりすぎている。
というよりさっきからおかしい。
あのナイフにこの蹴り。
まるで、俺を殺しに来ている。

「馬鹿野郎!
 服が汚れたらどうするんだ!!」

「おっと、すまねぇ。
 次は顔を狙うから許してくれよ。」

ゲラゲラ、と笑いながら男達は喋っている。
その声がどこか遠くに聞こえた。
口の中に広がるのは、ぬるりとした鉄の味。
それを確かめると同時に、目の前で携帯が踏み潰される音が聞こえた。

「んじゃあ、さっさと殺して服を貰うか。
 珍しい服だ。
 きっと高く売れる筈だぜ。」

リーダー格らしい男の口調には、何の凄みもない。
それこそコンビニで、煙草かジュースでも買うような、どうでも良い口調。

「でもよ、先に服を引っぺがしてから殺さないと服に血が残るぞ。」

「確かにそうだな。
 んじゃあ、服から頂くか。」

そして、ようやく俺はこの男達の言葉を理解する。
殺す?
あのナイフで俺は殺されるのか?
理解できない。
どうして俺は殺されないといけないんだ?
いきなり変な所にいて、出会った男に殺される。
そう考えるだけで恐怖が湧いてくる。
あの男達の会話を聞いたからなのか身体が震えている事に気がついた。
俺の知っている常識とかけ離れた会話をサラリと言う目の前の男達の態度に、冷たい汗となった危険信号が背中を描け落ちる。

「だ、誰か・・・」

震える声で何とか声を絞り出す。
俺が恐怖している事に気がついた男達は笑みを浮かべる。

「ようやく状況が理解できたみたいだな。
 でも、残念だったな。
 お前を助ける奴なんて誰もいねぇよ。」

淡々とした声で男はそう言う。
確かに俺がここに来た時は誰もいなかった。
故に俺が大声を出しても誰も助けには来てくれないことは明らかだった。
抜き身の剣を構える男の姿に、恐怖とも諦めともつかない感情が俺の身体の自由を奪う。
剣を振り上げた時だった。

「生憎だったな。
 助ける奴はここにいる。」

声は男達の後ろから聞こえた。
剣を振り上げていた男は行動を中断して、後ろを振り向く。
他の男達も同じだった。
俺も同じように後ろに視線を向ける。
そこには傍らに馬が一頭だけ立っていて、その傍には純白の鞘に入った刀を持った男が立っていた。
緑を基調とした服に黒のラインが入った服装。
ズボンもそれに合わせて動きやすそうな茶色のズボンを履いている。
髪と目は黒で髪は男にしては長く、後ろまで伸びている。
突然、やってきた男に三人の男の一人が剣をチラつかせながら近づく。


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