天の御使い
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確認くらいは出来るだろうに。
この携帯を買う時に海外でも使えるって聞いた覚えがあるし、もし海外に拉致されても、助けを呼べる可能性がある。
可能性が・・・・
その瞬間、液晶ディスプレイに灯るのは非情極まりない『バッテリー残量がなくなりました』の文字。
しばらくピーピーと耳障りな音を立てたあと・・・俺の最後の希望の糸は、画面の明かりを全て落とし、完全に沈黙してしまった。
携帯電話。
電気がなければただの箱。
「物が入らない分、箱以下か。」
とりあえずどこかで充電出来るまで、携帯は役に立たなくなった。
「どっちに行けばいいのかな。」
太陽は真上で、たぶんお昼頃。
今の俺に分かるのは、それだけだ。
ただ、方向が分かっても、どこに何があるのかが分からない以上、どこに行けばいいのかが分からない訳で。
「とりあえず、南に行ってみるか。」
何となくそう決めて、電源の落ちた携帯をポケットに放り込もうとして。
「おい兄ちゃん。
珍しいモン持ってるじゃねえか。」
独り言以外の声が掛けられたのはその時だった。
俺は後ろを振り返るとそこには男三人が立っていた。
三人とも見た目は俺より年上に見えた。
「コスプレ?」
とりあえず、東洋系の顔つきではあるけど・・・その格好は、鎧というか何というか、少なくとも日本で普通に通りを歩いている格好じゃない。
表現するなら盗賊をコスプレするのならこんな感じで着こなすだろう。
「何言ってんだ、こいつ。」
「さぁな、頭がいかれてんじゃないのか?」
「んなこと、どうでもいいだろう。
あの野郎が珍しいものを持っているのは間違いないんだから。」
とりあえず、ここがどこなのか聞いてみる。
「あの・・・すみません。」
「何だ?」
「ここ、どこですか?」
「はぁ?」
「それにその格好・・・映画かドラマの撮影ですか?
随分凝ってますけど。
もし良かったら、どこかに連絡か、携帯の充電をさせて貰えませんか?
携帯のバッテリー、切れちゃって。」
俺の言葉を聞いた三人は全く意味が通じていないのが、表情を見ただけで分かった。
もしかして、言葉が通じていないのか?
でも、俺はあの人達の言葉が分かる。
男の一人が面倒くさそうにボリボリ、と頭をかいて手を腰に移動させる。
それと同時に俺の頬に触れたのは、冷たい鉄の感触だった。
「は?」
「ごちゃごちゃとうるせぇな。」
薄く研がれた刃を備えた、包丁よりも大振りな、ナイフの刃。
それを認識しつつも俺は声を出す。
「え、えっと・・・ドッキリですか?」
「何を訳の分からない事を言ってやがるんだよ!!」
苛立ちが限界を迎えたのか。
ナイフ
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