暁 〜小説投稿サイト〜
我が剣は愛する者の為に
天の御使い
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たんだっけ?
ちょっと待て。
俺、何してた?
あれか、記憶喪失ってやつなのか?

「お、俺は・・・・」

幸い、声は出る。
全身も痛いけど、指の動く感覚や、足の動く感覚も残っている。
とりあえず、身体の方は大丈夫らしい。

「俺は北郷一刀・・・聖フランチェスカの二年生で、所属クラブは剣道部・・・」

生年月日に出身地、フランチェスカに入るまでの生い立ちを一通り口に出してみて確認する。
記憶の中身もだいたい大丈夫な事も確かめる。
そして今日は、朝起きて、学校に行って、いつも通りの授業を受けてて、それから・・・・

「そこから、か。」

どうやら足りないのは、ここに至る前後の記憶だけらしい。
よかった。
もし記憶喪失になっても、ドラマじゃあるまいし。
心配してくれるヒロインなんていないしな。
そして俺は、ゆっくりと目を開いて・・・・

「なんじゃこりゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!」

目の前の光景に、思わずそう叫んでいた。
果てまで抜ける青い空。
浮かぶ雲はずっと閉じていた眼には痛いほどの真っ白だ。
針の如くそびえる岩の山と、地平の果てまで広がっている赤茶けた荒野。
そして、無人。
もちろん俺の叫びにも、リアクションを返しているくれる人なんかどこにもいないわけで。

「ど、どこだここ!?」

地平線は何だか黄色っぽいし、風も妙に乾いてて、口の中がジャリジャリするほどだ。
というか、どう見てもフランチェスカ・・・いや、そもそも日本の光景ですらない気がする。
前に紀行番組で見た、海外の何とか砂漠とかそういう所に近いけど、そんな激しい観光名所、学校の近所にはなかったよな?

「でも、夢でもないんだよな。」

ほっぺをつねっても髪を引っ張ってみても、ちゃんと痛いって事は・・・夢じゃないって事だろう。
豪快なセットを組んでその中に放り込むとか、寝ている間に海外にこっそり連れ出した・・・なんてドッキリなら説明は付くだろうけど、残念ながらそんなトンデモな事ができる友人にも心当たりはない。

「せめて、何かヒントがあればなぁ。」

ポケットを漁っても、大した物は出てこない。
携帯にハンカチ、小銭が少々・・・・・・って、携帯!?

「そうそう、これがあるじゃんか!」

携帯があれば、連絡もできるしナビだって使える!
早速携帯を開けて、画面を確かめるが。

「・・・・・圏外か。」

けど、無情にもアンテナ表情の欄にはその二文字が写るだけ。
圏外の携帯なんて、ただのカメラかゲーム機じゃないか。
しかも心許ないことに、バッテリーは残り一本。
どうやら昨日の晩、充電するのを忘れていたらしい。

「せめて、エリア内に行ければなぁ。」

そうすれば、少なくとも現状の
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