第一物語・前半-未来会議編-
第四章 覇王の会議《2》
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音だけが静かに響く。
●
今、会議場の雰囲気が慌ただしくなっていた。
それもそうだ。
普通なら、ここは嫌でも素直に従った方が損は少なくて済む。だが、日来の覇王会は奥州四圏の慈悲とも言える逃げ道を、歩まないと告げたのだ。
「貴方達、本気なの?」
「本気も何も、これが僕達の答えだ」
「奥州四圏を敵に回すことと同じに御座るよ」
「それくらい覚悟してるよ」
レヴァーシンクは自重することなく、当たり前のような口振りで受け答えをする。
その姿勢には、来訪者達も何故か関心を覚えた。
「撤回するなら今のうちよ」
「撤回はしない、警戒するなり何なりするといいさ」
「売り言葉に買い言葉。これ大丈夫ですの? レヴァーシンクの中二病発症してノリノリですけど」
「まあ下手なことはしないだろうし、大丈夫だろう」
だが不安なのは違いない。
飛豊は不安を感じていた。この発言はいわば宣戦布告と同じだ。
既に日来を警戒する行動を、奥州四圏は考え、取っているだろう。
不安を思う飛豊にネフィアは気付きながらも、日来の隊長であるネフィアは立ち上がる。
「この発言から分かるように、今後、日来は奥州四圏の指示には従わずに独立しますの」
「独立したらどうなるか、お解りで?」
宇天の戦術師が問うて来た。
彼方も意味は解っているだろう。だから、これは確認だ。
本当にそれでいいのか、と。
ネフィアは立ち上がる際、前に出た髪を後ろへ流しながら答える。
「まずは奥州四圏が……。いいえ、まず神州瑞穂が敵に回りますわね。それに世界各国からも狙われるようになりますわ」
「貿易をするとなれば、他勢力群|《イレギュラー》の協力が不可欠となりましょうな。どんな存在かも分からない日来に各国が手を貸すとは思えませんし」
「それならば心配無い」
ネフィアの横に座っていた、指揮官が補佐と一緒に立ち上がる。
「日来には生産区域が設けられている。日来には今、約九万という人々が住んで居るが、一日二食としても生産区域と貯蓄してある食料で三週間ぐらいは保つ」
「何処が心配無い、で御座るか。たった三週間の食料では日来が沈むのも時間の問題で御座ろう」
「それが心配無いのだ、三週間あればな」
断言するように言ったアストローゼは、補佐のニチアに映画面|《モニター》を表示するように合図を出した。
ニチアの操作により、アストローゼの前には二つの映画面が並ぶ。
「これを見ろ」
自身の方に向いていた二つの映画面を、反転させ拡大した。
宇天側に見せ付けるように。
一つの映画面には日来が、もう一つの映画面には何かのグラフが映っている。
「日来には生産区域が地下を含めて大小様々計二十ある。そのなかで家畜を扱っているのはたった五つだけだ」
映画
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