第一物語・前半-未来会議編-
第二章 時の始まり《2》
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場合は引きずるようにか。辰ノ大花側の平常心が整うのも待たずセーランは話を進める。
「いやあ、責任感じるようなことさせてごめんな。そっちも色々と忙しいのにさ」
「私達の長に話し掛けてるとこ申し訳無いけど、会議場に案内してもらえるかしら」
「……? 了解了解、んじゃ付いて来て。あっ、婆ちゃん一人で歩ける? 手、貸そっか?」
「貴方! こちらのお方は――」
「静かにしなさい実之芽ちゃん。気遣い有難う、でも大丈夫よ」
実之芽の言葉を蓮は遮った。
実之芽と呼ばれた少女は嫌々セーランに一礼し、前へ出てしまった身体を後ろへ下げる。
危うく手を出しそうになってしまった。幾ら自分が追い詰められていようと、彼方には関係無い。気を付けなければ。
ここ最近あまり休んでないせいか、すぐ気が立つわね。だけど、奏鳴のためだものね。
奏鳴の関係で睡眠時間を加護で補っている状態が、もう一ヶ月近く続いている。
しかし幾ら加護だと言えど、疲労がすっきりと消えるわけではない。
ふう、と息を吐き、心を沈ませる。
その時、こちらに強い向かい風が吹いた。
急な風に実之芽は自分の髪を押さえながら、視界に入ったセーランと言う学勢の右袖を見て驚いた。
右腕がない!?
疲労の蓄積で、周囲の確認が散漫していた。見れば分かる筈のことが今、分かった。
「あなた、右腕が――」
と、反射で言ってしまった。直後、この問いを愚問だと感じた。
今は腕を失っても義碗がある。しかし、義碗を付けないということは、何かしらの意志の現れなのだ。
「ごめんなさい……気を悪くしたかしら?」
「気にすんな。こっちは別に右腕のことなんて気にしてねえから。義碗を付けないのは値段が高いからだよ。色々と不便だけども、てそんなことはどうでもいい。それよりも歩こうぜ」
嘘だ。
実之芽には解ってしまった。
眉が微かに動き、動揺したのを。この目で確かにしてしまったため。
底が見えぬ程の深い覚悟を、彼の無き右腕が表している。
悪いことをしてしまい申し訳無い気持ちになるが、落ち込んでいてもしょうがない。
彼方は気にするなと言ったのだ。ならば気にはしないことにする。
歩き出した日来学勢院の覇王会会長の後ろを、来訪者達も後に続き歩き始める。
先頭を行くセーランは歩きながら、後ろを行く辰ノ大花勢を確認した。
やっぱりあっちの長は訳有りだな。周りの連中も会長に話した時だけ、戦闘体勢にちゃっかり入ってたし。
そう思いながら前を向き、歩き続けた。
近付いてくる長と辰ノ大花の者達を見たネフィア。視線は長であるセーランに向けられており、
「絶対何かしましたわね」
「だね。ところでさ、あっちの覇王会隊長何か疲れてない? 歩幅が一歩ごとに微妙に違うんだよね」
「変な
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