第一物語・前半-未来会議編-
第二章 時の始まり《2》
[5/7]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
勢院に出すこと。これは日来にいる学勢と、住民には会議が終わるまでに移住届けを出すように伝えてある。
覚悟しなよ、ここから全てが始まるんだ」
会議場にいる覇王会面々も、建物内で映画面越しで見学している仲間達も、遠く離れて映画面を見ている者もその言葉に重みを感じた。
この伝えで神州瑞穂の親戚の所や、他国に移住した者達は少なくない。だが、それでも日来にいる者達は覚悟を決めたのだ。
それでも日来に残ると。
●
外交区域学勢領の正門に繋がる約二十メートルの大道に数人の者達が、学勢領に向かって歩いて来ている。
距離にしてまだ百メートル以上はあるだろうか、その姿を半獣人族のネフィアが視界に捕らえた。
「来ましたわね。咲先生、レヴァーシンクに報告をお願いいたします」
「はい、分かりました」
「数は学勢五人、教員二人……て学長自らのお出座しかよ。これはいい報告じゃなさそうだなあ」
「ええ!? ど、どうしましょう!」
「慌て過ぎだって。別に今更驚くことじゃないだろ?」
そうですよね、と咲は落ち着いた。
ここへ来る者達も、すでにこちらを視界に捕らえ
ているだろう。
彼方の真ん中にいるのは、辰ノ大花の宇天学勢院覇王会会長。それを中心に、彼らは横に広がっている。
「幣君、そろそろ出番ですよ」
しかし返事が聞こえない。
確かめるよくにもう一度呼んだ。
「幣君、幣君! 聞こえてるんですか?」
そう言い咲は彼がいたネフィアの横を見る。
何処にも彼の姿は無かった。
いるのはネフィアと榊だけ。肝心の覇王会会長であるセーランが、見る限り何処にもいなかった。
ええ! ど、どこに消えたんですか!?
慌てる咲の様子に気付き、ネフィアと榊よ辺りを見渡す。
とその時。大道の向こう側で、こちらへ向かっていた来訪者達が騒ぎ出した。
「貴方、いきなり何の用!?」
「ストップストープ、挨拶に来ただけですよう。今回はわざわざ遠い所から、お越し下さりどうも有難う御座いますう」
セーランはわざとらしいお辞儀をする。急な出来事に、宇天覇王会隊長以外の来訪者達は彼の行動に唖然とした。
それもそうだ。これから運命を左右する相手に、普通はこんなに積極的になれる筈がないのだから。
正門にいる者達も口を閉じるのも忘れて、驚きを隠せていない。
驚きを抑え、なんとか宇天覇王会会長はセーランに一言。
「あ、い、いや。まずはその喋り方をどうにかしてほしい」
「あ、そう? なら普通に喋らせてもらうわ。この話し方、気持ち悪いしな。早速自己紹介と言うことで、俺は幣・セーランね。ヨロシク!」
体をくねらせ、舌を出し、セーランは左手でピースをする。その異様なテンションに、来訪者達は付いていけなかった。
リードするように、この
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ