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ストライク・ザ・ブラッド 〜神なる名を持つ吸血鬼〜
追憶の惨劇と契り篇
48.静寂からの始まり
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れないがあいにくながらこの街は川は流れてはいるが海原が今いるところからは少し離れた位置にあるのだ。
眷獣を再び召喚しても同じ結果になるだけだ。
考えるんだ。
そんな海原を嘲笑うかのように猿は再び咆哮する。それを引き金に大地は津波のようにこちらへと襲いかかってくる。
「まずっ……!」
そう思った時にはもう大地の波は目の前まで迫ってきていた。海原を容赦なく飲み込まれる。……はずだった。
目の前に突如として現れる制服姿の少年。多分柚木と同じくらいの歳であろう。身長は平均に比べると少し小さく感じる。黒髪が寝癖なのか少し乱れて立っており、一部だけが茶髪のようになっている。
彼の手には近未来系金属製の銀色の長剣が握られている。
その剣を縦に一振りするとともに雷鳴にも似た爆音が空気を劈いた。あまりの音に両手で両耳を塞ぎ、正面から顔を逸らした。
すると次見る時には、目の前に襲いかかってきていた大地の津波はもともと存在でもしなかったかのように消滅していた。
「まじかよ……」
それをこの少年がやったというのだ。しかしなぜあれほどの膨大な魔力を使えたのかと思うくらいに魔力を彼からは感じない。
すると少年はまるで何もなかったかのようにこちらへと振り返って口を開いた。
「大丈夫か、海原さん」
なぜこの少年は名前を知っているのだろうか。すると海原の中にあったわずかな記憶が呼び覚まされる。
一瞬確認できただけだった。しかしこの思い出された記憶は一生忘れることはないだろう。拳を振りかぶってまるで鬼の形相海原を殴りつけてきた少年の顔を……
そして海原は小さく笑みを浮かべて呟いた。
「流石やで……ヒーロー」
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