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ストライク・ザ・ブラッド 〜神なる名を持つ吸血鬼〜
追憶の惨劇と契り篇
48.静寂からの始まり
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恵の眷獣は、見る限り地形操作の能力だ。それだけでかなり強力な眷獣だ。それに加えて海原は迂闊に眷獣を使えば暴走するかもしれないというリスク付きだ。
しかしやらなければならない。あの少年はそれをやってのけたのだから。吸血鬼でもなければ、魔族でもない。武術の達人でもないただの人間であるあの少年は海原を止めてくれたのだ。彼以上の力を持っている海原が止めれないわけがない。
すると海原は老人と手を引っ張られている懸命に逃げている少年を視界に捉える。
「まだ逃げ遅れたのがおったのか!」
海原は波のように迫り来る地面を殴りつける勢いで右腕を突き出した。
もう迷っている時間などない。右腕から爆発的な魔力が吹き出す。
「顕現しろ、“
海王の聖馬
(
ポセイドン・ユニコール
)
”!」
膨大な魔力の塊は艶やかな毛並みの一角の黄金を持つ眷獣が姿を現した。
「食い止めろ、ポセイドン!」
叫びに反応し、
一角獣
(
ユニコーン
)
が咆哮する。 その瞬間、空気中に漂う水分が一気に集結し水の壁を出現させる。
そして迫り来る地面と激突。凄まじい衝撃波が水の壁越しにこちらへと襲いかかってくる。
「凄まじい威力やな。湿度高くなかったら破られとったな」
幸いなことに今日の天候に救われた。
後方へと視線を向けると先ほどの老人と子供はなんとか無事ようようだ。
すると雰囲気が一気に変わるのを海原は感じ取った。肌を刺すような嫌な感覚だ。
恵の体から放たれていた魔力が徐々に形を作り出していく。
そびえ建つ建物から肩まで飛び出るほどの長身の眷獣。マンションの四、五階くらいに相当する大きさだ。身体中に銀色の鎧を身にまとう猿。
「ついにお出ましちゅうわけか」
額に汗がにじむ。初めて真正面から受ける伝説の吸血鬼の眷獣。
いや、違う。初めてではない。彼の眷獣を真正面から受けた。しかしあれは恐怖のせいでほとんど感じることさえできなかった。
猿の眷獣が吠えた。すると大地が脈動しだす。
これは地震だ。まさかこの眷獣は完全に大地を支配しているというのか。
「これ以上の好き勝手させへんで!」
海原の叫びに
一角獣
(
ユニコーン
)
が猿へとめがけて突進する。猿の眷獣はまるでその時を待っていたと言わんばかりにいやらしい笑みを浮かべる。そして突進してくる
一角獣
(
ユニコーン
)
の横腹へと向けて平手を放った。リーチの長い腕に
一角獣
(
ユニコーン
)
の突進が届くことはなかった。
凄まじい力に海王の名を持つ眷獣はビルのマンションへと激突する。
すると
一角獣
(
ユニコーン
)
は元の魔力へと返っていった。
こうなることはわかっていた。そもそもこの地上では、海原の眷獣は分が悪すぎるのだ。水が多くある地区ならまだ勝機はあったのかもし
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