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ストライク・ザ・ブラッド 〜神なる名を持つ吸血鬼〜
追憶の惨劇と契り篇
48.静寂からの始まり
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味な笑みが見えたのだった。
街で一番大きい病院の一室。そこに集まったのは、伝説の吸血鬼の名を継ぐものたちだった。
「それで現在の状況はどんな感じですか?」
「今のところ交戦してるような魔力は感じられないわ」
アレイストの問いに緒河彩斗の母親の緒河美鈴がパソコンの画面を見ながら答える。パソコンのディスプレイには色々なグラフが表示されており、多分だが魔力の検知をしているのだろう。
「ところで今夜は彼は現れるかしらね?」
京子が自分の髪をいじりながら暇そうに呟いた。
「多分、現れると思いますよ。昨日だって海原さんをあんな風にしたのだって……」
昨夜の海原は眷獣に精神を奪われていた。確かに“
神意の暁
(
オリスブラッド
)
”の眷獣は強力だ。しかし通常の状態で精神を奪われるほど眷獣の主人たちは貧弱ではない。
ならばどうやって精神を奪われるのか。それは、主人が死の危機に陥った時だ。魔力の塊である眷獣たちにもちゃんと意識というものはある。そして眷獣たちも主人が死ねば消滅することになる。それをさせないために眷獣たちは強制的に異世界の門を開いてこの世界に出現するのだ。
だが、“
神意の暁
(
オリスブラッド
)
”が瀕死の状態に陥れられる人物など考えればわかることだ。
「いや、違うわよ。私が言ってるのは、美鈴の息子のことよ」
京子の言葉を聞いて一瞬のドキッとした。
だが、今夜は彩斗は現れない。彼もわかっているはずだからだ。
柚木は苦笑いを浮かべ答えた。
「現れませんよ。彩斗は……」
「どうかしらね」
美鈴がこちらを向かずに口を開く。
「彩斗くんって人がどれだけ危険だって言っても聞かない子だしね。昔だって唯ちゃんが川に流されそうになった時も私が助けを呼んでくるから待ったなさいって言ったのに助けに行っちゃうんだもん」
懐かしそうに彼女は語る。
やはり昔から彩斗のヒーロー癖は変わらないみたいだ。なぜか自然と笑みが溢れてしまう。
今思ってみると彩斗の最初の印象など最悪でしかなかった。どれだけこちらが無視したりしても何度でも話しかけてきた。本当にうざい人だとしか思わなかった。ただ、一方で嬉しいと思っていた自分もいた。
彼に心を開いたのは多分あの出来事がきっかけだったのだろう。ただ、彩斗はそのことを覚えているかわからない。
彼のことだからきっと忘れているだろう。
「彩斗は来ませんよ……絶対に」
「……そう」
美鈴は少し寂しそうに呟いた。
彼はきっと来ないだろう。そして来てはいけない。これ以上無関係な人間を巻き込むわけにはいかない。
これは
吸血鬼
(
バケモノ
)
たちの問題なのだから。
「なんかけったい空気やな」
少し
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