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101番目の舶ィ語
第十一話。人喰い村からの脱出
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子は今、『神隠し』に名付けられたと言った。
つまり『神隠し』は他にいるという俺の仮説は当たっていたんだ。

「あれ、知らなかったんだ?
意外に情報収集はないんだね?」

「情報収集担当が今はお風呂に入っているからね」

適当な事を言って誤魔化そうとしたが……。

「 へえ、情報収集担当がいるんだ?」

いらん情報を与えてしまったな。
しかし、詞乃ちゃんの話し方。
最後に語尾を上げる口調は、かなり精神的にくる。いちいち確認されているみたいな感じがするからな。
詞乃ちゃんみたいな美少女がやるから許せるが、男がやったら『桜花』で殴ってるな。間違いなく。

「で、モンジさんはこのわたしの村から出られるの?」

「ああ、出られるさ」

ニヤリと笑って音央の手を寄せる。
音央は俺の手を握り返しながら、それでも気丈な視線で頷いてくれた。

「ふぅん?」

詞乃ちゃんは俺を見て何かを考えたようだが……クスっと笑って。

「じゃあ、見事に出てみせて、101番目(ハンドレッドワン)(エネイブル)物語さん!」

その言葉と同時に、大量の村人達が一斉に襲いかかってきた。
バシャバシャと川を渡ってくる音も背後から響く。

「ど、どうすんの、モンジ??」

「とりあえず……!」

『待つ』のではなく、用意していたDフォンを操作して、彼女を『呼ぶ』。

「来てくれ!」

瞬間、俺の周囲にぶわっと風か吹き上がって____




『もしもし私よ。今貴方の後ろにいるの』



一之江の声が背後から聞こえた。

「っ?? 誰??」

音央が俺の後ろにいるであろう彼女を見て驚く。
無理もない。どうやら普段の一之江とは見た目が違うようだからね。
俺は車のバックミラーやカーブミラーで見ただけだからハッキリと見た事はないが。

「わたし、わたし」

「え、一之江さん……?」

「そうそう、一之江ですよ。一之江」

「なんで詐欺っぽく言うのかな」

「はふぅ、そんな事より、もう戦い疲れたので帰りたいんですが」

背後の一之江が珍しく肩で息をするような語調でそう言ってきた。

「そうだね。とはいえ……」

まだリサ達と合流できていない。
そう告げようとした矢先。
集団の先頭にいた村人達が、突然倒れた。

「っ?? 何が……」

音も無く上空から飛弾した物体が村人達を潰していく。
あれは……石?
村人達に降り注ぐそれは上空から飛来した大小様々な石だった。
頭上を見上げるとそこには蝙蝠、鷲、烏が飛来していて、その蝙蝠達が飛んで来た方角からは獣のものと思われる咆哮が聞こえる。
……リサ達も無事なようだ。

「……今です。行きましょう
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