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101番目の舶ィ語
第十一話。人喰い村からの脱出
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彼女がここにいるという事はもしかして……)
悪い予感が頭の中で過ぎったが、今は弱みを見せるわけにはいかない。

「詞乃ちゃんか……」

彼女の名前を呟きながら彼女の顔を見る。
どうせ見つかっていて、挟み撃ちされているんだ。逃げ場はないだろうしな。
ならせめて時間を稼ごうと彼女に話しかけようとした。
だが、俺が声をかけるよりも先に詞乃ちゃんが口を開いた。
不本意ながら会話の主導権までもを彼女に取られてしまう形になってしまった。

「モンジさんだけじゃなく、一之江さんもハーフロアだったんだね?」

さっきまで可愛らしく聞こえていた声が、今は何処と無く怖く感じる。

「ああ____名乗りが遅れたね」

本当はまだルーキーで、この世界の戦いについてはよく解っていない、というのをバラすわけにはいかない。
ロアとの戦いは情報戦。
だからこそ、彼女は今ここで、話しかけてきたんだ。
俺がどんなロアなのかを見破る為に。

『不可能を可能にする男(エネイブル)』と『101番目(ハンドレッドワン)の百物語』の『主人公』、一文字疾風だ」

「『百物語』の主人公!」

詞乃ちゃんがいきなり声高に繰り返した。ビックリしたのか、ワクワクしてるのかは解らないが、やたらと興奮している。
『百物語』は、一之江が警戒し、キリカが驚いて排除しようとしたほどの存在だ。
知られているだとしたら、警戒させるには充分なはずだが。

「物語を改変出来る、『不可能を可能にする男(エネイブル)』だけじゃなくて、よりによって『百物語』の主人公も持っているなんて??」

詞乃ちゃんは興奮して俺を見つめているが、俺ってそんなに凄い存在なのか?
そもそも『主人公』と普通のロアの違いもよく解らないのだが、どう違うんだ。
そんな風に浮かんだ疑問も、今は顔に出ないようにする。

「百物語としては異質だからね。
存在しないはずの101番目の百物語。
言うならば『101番目(ハンドレッドワン)(エネイブル)物語の主人公』っていう感じかな?」

「まさか、複数のロアを同時に持つ人がいるなんてね……モンジさん、貴方本当に人間?」

失礼な奴だな。
俺は紛れもなくただの人間だ。

「毎回、色んな人に言われるが俺は普通の人間だよ」

「でも、そっか……それなら、君を倒せば、わたしのロアも強くなるんだね?」

「だろうね。『二つの物語を持つ主人公』を倒したロアとして、より強くなるはずだ」

「そっか……さっきも名乗ったけどわたしは『人喰い村(カーニヴァル)のロア』だよ」

「朱井詞乃っていう名前は誰が付けたんだ?」

「付けて貰ったんだよ。『神隠し』さんにね?」

一瞬、俺の背中に激しい寒気が走った。
この
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