第十話
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「真田の?」
「真田家を継いでいるのは某の兄で、次期当主が某では困ると時折あのような者が現れるのでござる」
……何か、奥州でも聞いたような話だなぁ。結構この手の話は何処にでもあるもんなのかしら。
「でもお兄さんが後を継いでいるのなら、問題はないのでは?」
既に当主が立ってるわけだし、幸村君のお兄さんならそれでもまだ結構若いんだろうし。
お父さんが、っていうのならまだ分かるけど、命を狙いに来るっていうのがどうにも分からない。
「確かにその通りではありまするが……兄は病弱なもので、まだ子もおらぬゆえ兄が亡くなれば某が当主に」
まぁ、それはそうだろうねぇ。普通に考えれば弟が跡取りになるってのは常識的な流れなわけだし。
「別に弟ならば構わないのでは」
政宗様やその弟の小次郎様みたいにどちらを当主にするのかで揉めたわけでもなさそうだし、
特にお兄さんに万が一のことがあったとしても幸村君が真田家を継ぐことに、伊達家ほどの抵抗はないように見える。
真田家のポジションが武田の中じゃどれだけかは知らないけど、
少なくとも御屋形様の側近やってる立場なら当主として立つ条件としては申し分ないはずだ。
それなのに何故。
「……妾の子なのでござる、某は。兄上の母君は正室なのだが、あまり某を快くは思っておらぬようで……こうした刺客を放たれる」
なるほど、妾の子に当主の座を奪われたくないと。だから殺してしまおうと。
ますます何処かで聞いた話になってきたわ。
本当何処でもある話、なのかしらねぇ……どうにも現代人の感覚だと、そこまで“血”ってのに拘る理由が分からない。
まぁ、天皇とかも男系じゃないとって拘りがあるみたいだから、
偉い人には血統ってものが大事なのは何となく分かるけども、人を殺してまでどうこうってのはどうなのかな。
「某は別に後を継ぎたいとか、そのようなことは考えておりませぬ……義母上のことも、
某は本当の母のように慕っているのでござるが……しかし、義母上は」
寂しそうな顔をするものだから、ついついくしゃくしゃと幸村君の頭を撫でてやっていた。
幸村君はそんな行動に驚いたような顔をして私を見る。
「いい子だね、幸村君は。本当にいい子だ」
政宗様とタイプは違うけど、何か似たような子だ。
立場の違いはあるけども、どっちにも母親には恵まれてなくて、それでも健気に想い続けてる辺りがそっくりだ。
まぁ、あっちは捻くれてるけどこっちは純粋というか何というか。
どうすりゃ十七になるまでピュアでいられるのかねぇ。
「本当のお母さんは?」
「……某が生まれてすぐに、某を置いて出て行ったと聞き申した」
それじゃ尚
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