第3話 戦火のガンダム
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ツヴァイを眺めながら愚痴る。ダメージレベルをCに設定していたらしく、先程の戦闘による損傷は消え去っていた。
「それで、『黒い翼』御本人の依頼とは何でしょうか?」
サキが淹れ直してくれた紅茶を啜り、サンジョウに視線を向ける。
「そうだね。手早く本件に入るよ。………君は、このガンプラを見たことがあるかね?」
一枚の写真を懐から取り出し、机の上に置く。
「な!?」
なんの気もなく覗き込んだヒサメだったが、それに写っていた機体を見て一瞬で表情を一変させ、思わずガタンと立ち上がってしまった。
「その機体は一体どこに??」
写真に写っていたのはガンダムナドレの改造型。知っているとかそういう次元ではない。この一年間をその在り処を探し続ける為だけに費やしていたのだ。
「これは今、とある縁で私の娘が預かっている。娘はガンプラバトルをしたことなど無いけどね」
「娘さんが………」
少し驚きつつも話を把握するために頭をフルで回転させる。取り敢えずは何かされる心配はないことに安堵する。
「譲って頂ける………とかそういう話ではないですよね?」
「勿論ただで渡す訳にはいかないよ。けど、依頼を受けてくれるなら譲渡することも考えよう」
一応、自分の手中に収まらなくても特に問題が有るわけではない。むしろガンプラバトルを知らない女性が部屋に飾っているだけの方が余程安全な筈だ。
しかし、あの機体が手許にある方が安心出来るのも確かだ。
「分かりました。それで、依頼内容はどの様なものですか?」
何かの大会に代理出場だろうか。それとも誰かのペアの相棒として戦うのかもしれない。
俺が依頼内容を尋ねると、サンジョウは嬉しそうな表情を浮かべた。
「それはだね………。娘をガンプラファイターにしてもらいたいのだよ」
「………………え? それはどういう………?」
思わず聞き返してしまう。何故か頭が理解しなかったのだ。
しかしサンジョウは笑みを浮かべて同じことを繰り返した。
「私の娘、アリサをガンプラバトルで戦えるように手助けして欲しいんだ」
瞬間、ヒサメの脳裏には自身が底なし沼に嵌っているビジョンが映し出されたのだった。
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