第十三話
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、そこで長髪のウィッグが落ちた。うん、間違いない。それに、彼女も俺の顔を見て驚いた様子だから気付いたんだろう。
「やっぱり……お前、鈴ちゃんなんだな」
「うそ……カミナパイセン!?」
あぁ……やっぱり、そうなのか。
◆2010‐05‐12T18:20:00 “Yatugiri Junior High Scool Music Room”
あの後、鈴ちゃんにハンカチを渡してとりあえず落ち着くまで待つことにした。知り合いだった以上、このまま帰ることはできない。聞かないといけないこともあるし。
「あの……パイセン、これ、どうもです。本当なら洗濯して返した方がいいんだけど……出来ない、ので」
「いや、気にしなくていいよ。俺も気にしないし、仕方ないから」
大分しっとりとしたハンカチを受け取り、ポケットにしまいながらどうしたものかと考える。聞きたいことは多々あるんだけど、かといっていきなり一番聞きたいことを聞くわけにもいかないだろう。あれは、慎重に聞いた方がいい。かといって、何から始めるか……
「あ、えっと……パイセン、そちらの方は?」
「ん?って、ああ。そうか。二人はお互いが誰なのかは知らないんだったな」
鈴ちゃんが聞いてくれたおかげで、少し救われた。このままでは、無言で気まずい時間を過ごすことになってたかもしれないから。それに、俺もベートーベンさんがなんなのかは知らない。いや、見ればわかるような気もするけど。
「……それじゃあ、全員の自己紹介しとくか」
「そうしよう。そもそも私はここにいる者について、この子しか知らない。ついでにいうのならあまり強いロアではないのでね。出来ることなら、君たちがなんなのかも含めて自己紹介してくれるとうれしいね」
ベートーベンはそう提案してきた。ふむ、出来るならまだロア関連の話には入りたくないんだけどな……
「カミナが何考えてるのかは分かるけど、ちゃんと話とかないといけないことなんでしょ?」
「……まあ、そうなんだよな。鈴ちゃんもそれでいい?」
「あ、はい。大丈夫です!」
そういうことなら、そういう感じでいかせてもらおうとしよう。
「じゃあ、まず俺から。俺は神無月凪、八霧高校二年。まだハーフロアになったばかりのひよっこだけど、『畏集いし百鬼夜行』の主人公らしい」
「……これはこれは。大物じゃないかとは思っていたけど、まさか『百鬼夜行』の主人公だったとは」
ベートーベンさんはなんか驚いた様子だけど、そんなにすごいのだろうか、『百鬼夜行』の主人公というのは。今現在やれることがないから、どれくらいのものなのか全くもって分からない。
「じゃあ、次はあたしね。あたしは夢宮天樹。名前の方はなんだかごつい感じがするから、テ
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