VOICE(ルパン三世/ラヴリーP/VOICE)
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いたアジトで酒を飲み、賭け事をし、煙草を吸った、あのアジトでの出来事は『懐かしい出来事だ』。
『そうかい。喜んで貰えて光栄だ』
そして聞こえる声。
どこかでテープでも流しているのだろうかと疑うほど大きく聞こえるが、それは俺の幻聴だ。
アイツはもう居ない。
「お前さん、こんなところにアジトなんて持ってたか?」
『ただの気まぐれさ。もしもの事ってのも考えていたのさ』
「その結果がこの有様だ」
『……お前はこれからどうすんだ?』
俺の頭の中でアイツが尋ねる。
これからどうするか、このまま何もないまま過ごすか、あの頃に戻るか、はたまた別の道に進んでいくか。
「お前さんが好き勝手やっていた様に、俺も好き勝手にさせて貰うぜ」
片手を振って玄関に向かう。
その際アイツは何かを発する事はなかった。
家から出て、さっきの木まで戻る。
木から崖までの距離は短い。
ここから走って飛び出たら確実に命を落とす。
それが分かっていて崖のギリギリまで近寄り、懐からワルサーを取り出す。
弾は全部で8発。
その1発でも脳天に当たればどうなるかは散々理解している。
不思議と恐怖は襲ってこなかった。
不二子に持っていかれたと思われた指輪も、家具の配置も、読んでいる本も、全て俺に対する『挑戦』だった。
今、俺はここに居るという嘘を作る為の。
そうする必要はあったのかは分からないが、アイツにはあったのだろう。
だから俺も、アイツには意味がなくても俺には意味がある事を行う。
――チャキ。
こめかみにワルサーを当てる。
鉄の冷たさと雪の冷たさ、冬の寒さで俺の体は冷えてきている。
このまま外に居ても凍死するだろうが、それでは気が済まない。
殺されるなら、アイツと戦ったこの女で殺されたい。
「……あばよ、ルパン三世」
――バァン。
発砲の音、銃口から煙が出て手の感覚がなくなり、身体中の力が抜けそのまま下に落下する。
――ただ、何かを愛しているのは覚えている。
――俺はルパンを愛している、それは恋愛ではなく尊敬だ。
**
3年前にルパン三世は「待ってろ」と言って俺の目の前から姿を消した。
どうして待ってろなんて言ったのかは分からない。
ただ、どこかのマフィアの幹部と撃ち合いをしていたのは覚えている。
俺たちはマフィアの幹部から逃れてアジトに帰った。
そのままルパンはアジトに帰ってこなかった。
次の日、不二子が足腰に力が入っていなく、アジトのリビングを開けて泣いた。
「ルパンが死んだ」と、声にならない声で泣いた。
初めは冗談だろうと思っていたが、ルパンの死がテレビでも取り上げられていた。
遺体はど
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