第二百話 青と黒その一
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第二百話 青と黒
夜の闇が消え去ろうとしていた、その中で。
既に両軍は動いていた、織田の兵達はまだ暗いうちから飯を食い布陣にかかっていた、そうしながらだった。
兵達はお互いにだった、前を見つつ話をした。
「川中島で上杉が相手だからのう」
「それで、じゃな」
「何時連中が出て来るかわからん」
「上杉の者達がな」
こう話して警戒の念を怠らないのだった。
「武田殿との戦の時は朝もやの中からじゃったな」
「そうじゃ、いきなり攻めてきた」
「それで激しい戦になりじゃ」
「信繁様も勘助様も危うかった」
「幸村様がおられたからこそお二人は助かった」
「あのお二人にしてもな」
それぞれ信玄の片腕、知恵袋と呼ばれていす。山本は軍師として知られており片足を引きずっているが剣や槍も得手なのだ。
その山本も追い詰められた、それ程までの相手だからだというのだ。
「だから油断出来ぬ」
「連中はいきなり攻めて来るぞ」
「しかも総大将自らな」
「手取川でもそうじゃった」
この時の戦のことも話されるのだった、織田家にとっては忘れられない戦の一つだ。
「上杉は強い」
「武田殿にも劣らぬ」
「兵も将帥も強いぞ」
「だからそうおいそれとは油断出来ぬ」
「明け方と共に我等は声をあげるがな」
「それでもな」
お互いにこう話すのだった、そしてだった。
織田の兵達は次々とだった、自分達の布陣を整えていった。そのうえで戦の用意を進めていた。それは上杉も同じだった。
彼等も布陣を整えていた、そのうえで上杉の兵達も話していた。
「織田がどう来てもな」
「殿には勝てぬわ」
「うむ、殿は軍神じゃ」
「まさに毘沙門天の化身じゃ」
それが謙信だというのだ。
「だからな」
「我等が負けるものか」
「例え織田の兵がどれだけ多くともな」
「殿には勝てぬわ」
「毘沙門天様にはな」
こう話してそのうえでだった、彼等は法螺貝が吹かれる時を待っていた。信長も暗いうちから既に本陣にいる。
そしてその本陣でだ、詰めている池田と森に対してこう言ったのである。
「御主達はここに残りじゃ」
「はい、殿をお守りします」
「そう致します」
二人もこう信長に応えた。
「本陣の軍勢を率い」
「そのうえで」
「頼むぞ、ただな」
「この度の戦はですな」
「これまでのものとはまた違いますな」
「長篠の時ともまた違う」
先の武田との決戦の時ともだというのだ。
「鉄砲は使うがな」
「それでもですな」
「また違いますな」
「そうじゃ、敵は車懸かりじゃ」
それで来るというのだ。
「だからそれに対してじゃ」
「あの布陣にされたのですか」
「あえて」
「それにじゃ」
さらに言う信
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