第四十話 大阪の華その二
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「ただ着ていた服は着物よ」
「着物着てコーヒー飲んでたんだな」
「喫茶店とかでね。さっき向日葵さんが言った自由軒には」
その店には、ともだ。菖蒲は話した。
「コーヒーを横に置いて自由軒の中で執筆している織田作之助さんの写真があるわ」
「これから行くお店にか」
「そうなの」
「コーヒーか」
織田作之助がコーヒー派だったと聞いてだ、薊は考える顔になった。
そのうえでだ、こう仲間達に言った。
「あたしも後でコーヒー飲もうかな」
「いいんじゃない?」
菊が笑って薊に応えた。一つ目の善哉を食べつつ。
「それも」
「紅茶でもいいけれどな」
「織田作之助さんのお話を聞いたら」
「コーヒー飲みたくなったよ」
だからだというのだ。
「横須賀でもよく飲んでたけれどさ」
「あそこでも?」
「横須賀ってカレーとコーヒーが名物なんだよ」
その織田作之助が好きだったというこの二つの料理をというのだ。
「海軍だからさ」
「海軍はカレーとコーヒーなの」
「何で帝国海軍がその食事に入れてからカレーが日本に定着したらしいんだよ。コーヒーにしてもな」
海軍の間で飲まれてというのだ。
「それでそう宣伝してるんだよ」
「そうなのね」
「だからカレーとコーヒーよく食って飲んだよ」
「あのカレーは違うから」
向日葵はにこりと笑って薊に自由軒のカレーのことを話した。
「普通のカレーとは」
「どう違うか楽しみにしていいかい?」
「期待してもらって結構よ」
大阪ということもありだ、向日葵は阪神タイガースの元監督である岡田彰布の言葉を真似て言ってみせた。
「いづも屋の鰻丼もね」
「じゃあそっちもな」
「この大阪ではね」
今度は菫が言って来た。
「色々食べましょう」
「お好み焼きとかもか」
「たこ焼きも串カツも。それとけつねうどんもね」
「けつねうどん?」
「大阪ではそう呼ぶの。きつねうどんを」
「ああ、方言だな」
「そう、大阪のね」
ただ最近はあまりこう呼ばれない様である、大阪の方言も時代によって変わるようだ。
「ここの方言よ」
「やっぱりそうか」
「その大阪の方言でね」
それで、というのだ。
「けつねうどんと呼ぶのよ」
「そしてそのけつねうどんもか」
「食べましょう」
「大阪に来たら」
何故かだ、菫はその目を燃えさせて言った。
「是非ね」
「そういったもの食わないと駄目か」
「そうそう、あと金龍ラーメンに蓬莱の豚まんと餃子、それと北極のアイスキャンデーね」
「そういったのもか」
「そう、食べるべきよ」
是非に、というのだ。
「絶対に」
「何か相当食うな」
「けれど全部食べないと」
「大阪に来た意味ないか」
「ここは喰い倒れの街よ」
やはり目を輝かせ
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