§63 若返って見えるもの
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黒させている。恵那に至っては遠い目だ。
「さて、と」
シーツを天井からつるした中へ入る。小指をピン、と弾くとシーツが上から落ちてくる。黎斗に接する直前で止まったそれは、四隅へ白い布を垂らし、黎斗の姿を外界から遮断した。
「えぇー……見せてくれるんじゃなかったの?」
「んー、ここまでで許して」
これから行うのはグロいであろう光景を見せつけることになりかねない。
「さて。なんつー技法だったかなぁ……翠蓮なら覚えているかなぁ」
もう使ったのが昔過ぎて名称を忘れてしまった。やり方もほとんどうろ覚え。羅濠教主に聞けばよかったと思いつつ、まぁここまでなんとかなったんだしあともなんとかなるだろう、なんて相も変わらず楽観的な自分に苦笑して。
「----」
精神を集中させる。龍脈から気を拝借する術だ。龍脈を見つける。今の陣だと効率が悪い。右手を動かす。ワイヤーに引っ張られチョークが陣を修正してく。
「----」
一番良い形に。無駄が最小に、効率を最大に。完成したら、手を止めて、ひたすら精神を馴染ませる。
「……」
誰も何も発しない。それは静かな時間だった。
「こんなもんかな」
幾分高い声を張り上げる。ああ、懐かしい声だ。変声期を迎える、前の。
「すいません、さっきの服貸してもらえますか?」
「「「!!」」」
唖然とする三人の前に、幼児と化した黎斗が現れる。
「ん、やっぱり動きにくいな」
視点は低いし、動ける範囲も広くない。ぶっちゃけ感覚が違いすぎて辛い。だけど大丈夫。すぐに慣れる。慣れてみせる。
「れ、れーとさん……?」
「これは……天山童姥、か?」
愕然と呟くアンドレアに、黎斗は一人首肯する。
「んー、そんなカンジの名前だった気がします。翠連に言わせれば若干違うみたいですけど」
修練の時間を極限まで縮めて気を増幅させる。
「本来は中一くらいの年齢にしておけば良かったんですけどね」
黎斗は基本的に呪力で身体能力を増幅させている。それに加えて武器や各種魔術、呪術、権能を使用していく戦闘方法だ。必然的に、消費する呪力は莫大なものとなる。黎斗は他のカンピオーネに比べて呪力を大量に消費するのだ。今まで何とかなってきたのは、ひとえに黎斗の保有する気が規格外だったからに他ならない。
「今まではそれでもなんとかリカバー出来てたんですけど、流石に今回はリカバーしきれないんで。限界までショタ化してみました。まさか人間化の余波で呪力まで素寒貧になるとは……」
これでも正直、足りない。不安が残る。が、魔術・呪術の類を制限すればなんとかなるだろう。
「身体強化だけで戦えばそれなりの時間”
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