11話 「告死の黒翼」
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ゴーストタウンのように人がいなくなる。戦いの場所としてはまあまあの広さだ。いつもの得物の段平剣を抜き、腰だめに構える。
既にその場所に着いていたクロエが、銀の刀を逆手に握りゆっくりと振り返る。
「………俺は鬼ごっこは嫌いだ。ごっこ遊びではなく本物の鬼を狩る存在だからだ。それでもこんな茶番をした理由が……お前に分かるか?」
「知ったことか。俺はお前を叩きのめしてファーブル殺しを諦めさせ、ついでに真実とやらを知らさせてもらう」
「ふん……『随分と変わった』のか、それとも『きれいに化けている』のか……まあいい。俺もお前には聞かなければいけない事がある」
あの速度に加えてこの自由度の高い空間で、空戦可能な殺し屋と相対する。かなり無謀な戦いと言えるだろう。月明かりが照らし出す二つの刃が、同時に煌めいた。
瞬間、刃の激突音が周囲に響き渡る。
ぎちぎちと音を立てて鍔迫り合う二つの剣。ブラッドの体格と大剣に劣らぬ怪力で力を拮抗させながら、クロエが囁く。
「言っておくが、加減してくれるなどと甘ったれた考えは捨て置けよ。さもなくばその首、永遠に体と別れを告げさせてやる」
「さっきから能書きの多いガキだ。それとも――そういうお年頃か、坊や?」
びきり、と彼の額に血管が浮き出た。
鍔迫り合いのを解いたクロエはそのまま空に舞い上がり、その背中に荒れ狂う突風を巻き上げながら月光を背に絶対零度の視線でこちらを見下ろした。今までの超人然とした瞳に荒れ狂う殺気が宿ったのを、俺は見逃さなかった。
「予定変更だ、今すぐその首貰い受けるッ!」
「やってみろ、黒羽坊や。取れるものならな」
お前の知っている俺の情報を得るまでは死んだってくれてやるか、と内心で嘯きながら、俺は真正面から黒衣の暗殺者と激突した。
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