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ソードアート・オンライン 〜白の剣士〜
努力に憾み勿かりしか
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・・」

雪羅はゆっくりと恭二に近づく。

「そんな感情で手に入れても、彼女は離れるぞ」

「黙れぇえええ!!」

恭二は雪羅に向かって木刀を振り回す。

「黙れ!黙れ!黙れ!黙れ!黙れ!黙れ!黙れ!黙れ!黙れ!黙れぇえええッ!!!!!」

「お前は努力をしたか?」

雪羅は恭二の攻めをいなしながら質問した。

「お前の努力は十分であったか?」

「当たり前だ!」

「それはお前の作った限界なんじゃないか?」

「ッ!」

雪羅の言葉に恭二の動きが止まった。

「お前は無意識に自分に限界決めてそこで留まっているんだ」

「そんなこと・・・」

「ならぶつけてみろ。お前の、全力を・・・!!」

「ッ、うぁああああああッ!!」

恭二は雪羅に向かって木刀を降り下ろした。自分が持てる全力をぶつけた。
雪羅はそれを受け止め、全力で返した。

「うぉらッ!!」

「グッ!!」

弾かれた恭二の木刀は宙を舞い、地面に乾いた音と共に落ちた。木刀を投げ捨てると雪羅は拳を握り、振りかぶる。

「歯ァ、食いしばれぇえええ!!!」

雪羅の拳は恭二の顔面を撃ち抜いた。腰の入ったそのパンチは恭二の身体を吹き飛ばし、恭二は雪の積もった公園に横になった。

「ハァ、ハァ・・・」

雪羅は息を切らしているが、恭二からは何の反応もない。それを気にせず雪羅は話しはじめる。

「お前の全力、確かに見せてもらった。なかなかいい剣だった」

「・・・・・」

「これで分かったはずだ、お前の限界はこんなものじゃないってよ。」

「・・・・・」

倒れたままの恭二に雪羅は聞いた。

「悔しいか?」

「・・・ああ」

「痛いか?」

「ああ・・・」

「だろうな・・・」

「・・・・・」

「どうだい?全力を出して、それをぶつけて、言いたいこと吐き出して、全力でぶっ倒された気分は?」

「最悪、だよ。でも・・・」

恭二は仰向けになると、殴られた痛みを感じながら呟いた。
その顔はどことなく吹っ切れたような顔だった。

「悪くない、気分だよ・・・」

降りしきる雪の中、二人の男の戦いはこうして幕を閉じた。

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