努力に憾み勿かりしか
[2/2]
[8]前話 [9]前 最初 [1]後書き [2]次話
・・」
雪羅はゆっくりと恭二に近づく。
「そんな感情で手に入れても、彼女は離れるぞ」
「黙れぇえええ!!」
恭二は雪羅に向かって木刀を振り回す。
「黙れ!黙れ!黙れ!黙れ!黙れ!黙れ!黙れ!黙れ!黙れ!黙れぇえええッ!!!!!」
「お前は努力をしたか?」
雪羅は恭二の攻めをいなしながら質問した。
「お前の努力は十分であったか?」
「当たり前だ!」
「それはお前の作った限界なんじゃないか?」
「ッ!」
雪羅の言葉に恭二の動きが止まった。
「お前は無意識に自分に限界決めてそこで留まっているんだ」
「そんなこと・・・」
「ならぶつけてみろ。お前の、全力を・・・!!」
「ッ、うぁああああああッ!!」
恭二は雪羅に向かって木刀を降り下ろした。自分が持てる全力をぶつけた。
雪羅はそれを受け止め、全力で返した。
「うぉらッ!!」
「グッ!!」
弾かれた恭二の木刀は宙を舞い、地面に乾いた音と共に落ちた。木刀を投げ捨てると雪羅は拳を握り、振りかぶる。
「歯ァ、食いしばれぇえええ!!!」
雪羅の拳は恭二の顔面を撃ち抜いた。腰の入ったそのパンチは恭二の身体を吹き飛ばし、恭二は雪の積もった公園に横になった。
「ハァ、ハァ・・・」
雪羅は息を切らしているが、恭二からは何の反応もない。それを気にせず雪羅は話しはじめる。
「お前の全力、確かに見せてもらった。なかなかいい剣だった」
「・・・・・」
「これで分かったはずだ、お前の限界はこんなものじゃないってよ。」
「・・・・・」
倒れたままの恭二に雪羅は聞いた。
「悔しいか?」
「・・・ああ」
「痛いか?」
「ああ・・・」
「だろうな・・・」
「・・・・・」
「どうだい?全力を出して、それをぶつけて、言いたいこと吐き出して、全力でぶっ倒された気分は?」
「最悪、だよ。でも・・・」
恭二は仰向けになると、殴られた痛みを感じながら呟いた。
その顔はどことなく吹っ切れたような顔だった。
「悪くない、気分だよ・・・」
降りしきる雪の中、二人の男の戦いはこうして幕を閉じた。
[8]前話 [9]前 最初 [1]後書き [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ