努力に憾み勿かりしか
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「はあッ!」
「甘い!」
恭二が木刀を振り回すなか、雪羅は車椅子に乗ったままそれをいなしていた。
あれからどのくらい経っただろう、辺りはもう雪が積もり、空気が更に冷たくなっていた。
「ハァ、ハァ・・・」
「・・・・・」
恭二が息を乱す中、雪羅は呼吸ひとつ乱さずにいた。
「何故・・・何故、あんな真似をした?」
「・・・・・」
「お前の兄は向こうでは殺人を犯していた。お前はそれを知っていて協力した。何故だ?」
雪羅の問いに恭二は静かに答えた。
「・・・憧れたのさ」
「憧れ?」
「僕は兄さんのようになりたかった。SAOであんなにプレイヤーから注目されて、羨ましかった。兄さんの話を聞けば聞くほどどれだけ兄さんが偉大かが分かったんだ!兄さんから協力の依頼が来たときは、僕みたいな人間でも、誰かの注目を浴びられるって思うと、嬉しかった・・・」
「それで・・・」
「?」
雪羅は恭二に対して、こう言った。
「お前はこんなことをしたのか?・・・注目して欲しいが為に」
「そうさ・・・。僕は兄さんのように誰かに認めて欲しかった!だから僕は何でもやった!これは僕にしか出来ない!僕だけの力だ!」
「・・・・・」
「最高だった、一人、また一人って僕のことを見てくれる感じは・・・。今までの僕は誰にも見てもらえなかった、生きてる感じがしなかった・・・。でも・・・」
その時の恭二の顔は歪んでいた。
「でも・・・そんなときに朝田さんに出会った。彼女の過去を知れば知るほど興味が出た。銃で人を殺すなんて普通じゃ出来ない!僕は彼女に憧れ、近づきたかった!死銃の片割れになったときは本当に楽しかった。
生きてる感じがした!」
「・・・・・」
「ねぇ?朝田さん、僕は君に近づけたかな?」
恭二が詩乃に近づこうと方向を変えた次の瞬間、懐には雪羅の姿があった。
「甘ったれんじゃねーよ」
「ッ!」
雪羅が腹部に思いきり木刀を殴り付けると、恭二は地面を転がった。
「憧れ?注目?お前はたかがそれだけのために人を殺したのか?」
「たかが、だと・・・!?お前に、お前に僕の何がわかる!親のプレッシャーに耐えながら惨めに生きていく僕の気持ちが、お前には分かるか!?」
「分からんな、少なくともそれを殺しで晴らすお前の気持ちは理解しがたい」
「何ッ?」
「お前、もとは医者志望で勉強をしていたが、本当はなりたくなかった。親の決められたレールの上を走っているほどつまらないものはない、そう思ったからだ。そして、お前は詩乃と出会い彼女に憧れ、欲した。だが、お前のその感情は憧れでも、好意でもない。ただの、歪んだ所有欲だ」
「黙れ・
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