第6章 流されて異界
第112話 失点
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ントから走って来る可能性が高い】
外野は少し後ろ。相手は三番、ここは長打警戒よ。……と表面上ではそう言う指示を出しながら、【念話】では有希に対してそう伝えて置く俺。
そう。もし俺が相手のチームの指揮官ならば、ここは間違いなく盗塁を試みます。
何故ならば、この守備位置から考えると、一塁ランナーが走った場合、セカンドに入るのは、先ほどエラーをした朝倉さん。まして、彼女自身は女子野球部やソフトボール部に所属して居る、などと言う事はない普通の女子生徒。
確かに、普通の女子生徒と言うには多少、規格外の能力を示す事は有りますが、先ほどのエラーをした様子からすると、現在の彼女は普段の彼女ではない状態で有る事は判ると思いますから、ここで潰そうとして来たとしても不思議では有りません。
ならば、
【但し、ピッチドアウトなどの小細工は必要ない】
そもそも、ハルヒにそんな小細工が出来るとも思えません。まして、万結にファーストベースへと張り付かせたのは牽制球が来るかも、と相手に思わせる為の処置。おそらくハルヒにそんな器用なマネは出来ないでしょうが、文字通り牽制の役ぐらいには立つでしょうから。
【セカンドには俺が入る。せやから有希は遠慮などせずに、全力で投げて来てくれ】
そう【指向性の念話】で有希に伝えながらも、表面上は身体の力を抜いた……次にどのような行動も取る事の出来る体勢を維持する俺。同時に、肉体の強化と、そして服やその他の装備品……グローブやスニーカーの強化を同時に行う。
そんな俺の思惑を知って居ないはずの我がチームのエース殿。割と様になった雰囲気で、肩越しに一塁ランナーへと視線を送りながらも、ゆっくりとした――
……って、目で牽制をしても、フォーム自体がゆっくりでは意味が――
足が上がると同時にスタートを切る一塁ランナー。マズイ、これはギャンブルスタートドコロの話じゃない。そもそも、牽制球が来る事など全く想定していないランナーのスタート。
ハルヒの手をボールが離れた瞬間!
「ハルヒ、三塁側に避けろ!」
叫ぶと同時にアガレスを起動。普段通り、周囲の空間が色を失い、応援の声やランナーの足音。そして、風を切る音さえ間延びして聞こえ始める。
当然、鼓膜に異常を来たした訳ではない。これは俺自身が通常の時間の流れから切り離された際に起きる事態。異常事態で有るのは確かだが、これ自体は普段通りの展開。
しかし、その中に違和感。普段感じる事のない異常な圧力。身体全体に掛かる重力とも言うべき代物が存在する。
これは、まさか!
異常に重い身体を、無理矢理発動させた自らの生来の能力。重力を操る能力で相殺。しかし、普段の倍以上の労力を割いて二塁上へと到達。
通常、プロで俊足と言われ
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