第6章 流されて異界
第112話 失点
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合開始。この展開だと、このまま相手の勢いに呑まれて大量失点する可能性が高い。
ただ、
「ドンマイ、朝倉さん。気にする必要はないで」
先ずはハルヒが何か言い出す前に、そうやって場を落ちつかせようとする俺。
そして、軽くグラブを掲げて弓月さんにボールを要求。
「サードは三遊間寄り。ショートはセカンドベース寄りにシフト」
九組の三番バッター。左打席に向かう、自称ランディくん。ハルケギニア世界では最初にソルジーヴィオと名乗り、ルルド村付近で起きたテスカトリポカ召喚未遂事件の際にはゲルマニア帝国皇太子ヴィルヘルムと名乗った青年を見つめながら、そう指示を出す俺。
更に、
「万結はファーストベースに着いて居てくれ」
弓月さんから投げ渡されたボールから、丁寧に……。さきほどよりも更に、丁寧に土を落としながらマウンドの上のハルヒに近付く。
まぁ、動揺するな、と言う方が難しい状況なのですが、余り時間も掛けて居られないし、更にタイムが無制限に掛けられる訳でもないので、ここは手早く、
「大丈夫や、ハルヒ。さっきの当たりで内野の頭を越えられないと言う事は、球自体は走って居ると言う事。流石の朝倉さんも決勝戦やったから緊張したんやろうな」
案外、可愛らしいトコロもあるんやな、彼女も。
何故に俺がこんな事をしなくちゃならないのか理由がさっぱり判らないのですが、それでも場を支配し続ける俺。
まぁ、グラウンドの監督と言うべき存在のキャッチャーは有希。ファーストは有希よりも五割増の不思議ちゃんレベルを持つ万結。サードはイマイチ自己主張に乏しい弓月さん。この三人に関してはリーダーシップを発揮しろと言っても土台無理な話。ハルヒはお山の大将タイプだけど、彼女はイケイケの時には力を発揮するリーダーだけど、逆境の時には向いて居ない。朝倉さんはエラーをしたトコロだから、今は無理。
そう考えて行くと消去法で俺しか残らないと言う、非常に人材が不足している野球チームだと言う事が判るのですが。
今回はボールを投げて渡す事もなく――
「未だ試合は始まったばかりやから、気楽に行こうやないか」
ハルヒの差し出した右手に直接ボールを手渡す俺。普段通り、何よ、エラそうに。忍のクセに生意気よ! ……などと言う彼女の悪態は素直に右の耳から左の耳へと聞き流す。
これなら大丈夫。未だやる気だけは売るほどあるようなので。
そう考えながら、テキトーに打たして行けよ。後ろには俺たちが居るから、などと言いながら、割りとゆっくりとした歩調で元の……いや、一二塁間の丁度中間点辺りの守備位置に就く俺。
相手は左バッター。ここは素直に引っ張って来るだろう、と言う基本的な守備位置。
但し、
【有希。相手は早いカウ
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