第6章 流されて異界
第112話 失点
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ンターに陣取ったさつきが軽々と処理をして仕舞ったはずです。確かに普通の人間に……出来る可能性もゼロではないけど、それはプロ野球のトップレベルの選手が、元々、そう言う極端な守備体型を敷いた時にのみ可能だろうと言う打球の処理を、普通の女子高校生がセンターの定位置から捌いて仕舞うと言う不可解な現象が起きる事と成るのですが……。
ただ、さつき自身がどうも非常に負けず嫌い。更に、自らの身体的な能力をあまり隠そうとしていないようなので、今までの……この学校に入学してから十二月に成るまでの間の蓄積が、相馬さつきと言う名前の少女が、少々普通の人間と違う能力を示したとしても誰も不思議とは感じない、と言う状況を作り出して居るようなので問題はないらしい……です。まして彼女は涼宮ハルヒが集めた奇人変人集団に身を置く人間ですから、あの連中なら、少々の奇行ぐらいは――と考えられているらしい。
聞くところに寄ると体育祭でも大暴れしたらしいですから。ハルヒ以下、SOS団所属の女子生徒たちは……。
しかし、先ほどのライト頭上を越えて行った打球に関しては、その人間離れした能力を発揮する事もなく、普通の人間とそう大差ない動きで終始行動したように感じたのですが……。
普段通り、頭の隅では常に最悪の事態を想定して置く俺。そう、この場所……球技大会の決勝戦の場所となった北高校のグラウンド自体が既に奴らのフィールドと成って居て、俺たち地球産の神々の加護を得ている存在に取っては死地と成って居る可能性について。
これが俺の杞憂に終わればよし。しかし、その想定が間違って居なかった場合は……。
急ごしらえのベンチ。パイプ椅子を幾つか並べただけのベンチに座る女子学生たちに混じっても、どちらの方が年上なのかさっぱり分からないこのクラスの担任教師。実は水晶宮から送り込まれた調査員の甲斐綾乃に視線を向ける俺。
その瞬間。
ツーストライクからの三球目、伸びの良いインハイの速球を打ち上げる九組の二番バッター。力のない打球は蒼い氷空へと昇って行き――
「オーライ!」
かなり余裕を持って落下予想地点に辿り着くショートの朝倉さん。その声を聞いて、彼女に接近して居たセンターのさつきが歩を緩め、俺もバックアップの体勢ではなく、セカンドベースに付く事を優先させる。
しかし――
しかし、次の瞬間。落下して来た白球は無情にも差し出されたグラブの土手へと当たり、そのままサード方向……弓月さんの方向に転がって仕舞う。
ボテボテと鈍い勢いで転がって行く白球。
そして、弓月さんがボールを拾い上げた時には、バッターランナーは既に一塁を駆け抜けて居た。
先頭打者ホームランの後、エラーにより更にランナーが出塁する。……う〜む。考えられる限りに於いて、これは最悪の試
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