第6章 流されて異界
第112話 失点
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ギニアでも、ここでもまったく変わりがない。
しかし……。
しかし、こいつ等がわざわざハルケギニアからこんな危険な……ヤツラにとって危険な敵が多数存在している世界にやって来た理由がコレですか。
俺自身がヤツラから妙に好かれて、と言うか、警戒されていると言う事なのでしょうか。
別にヤツラが何を企んで居ても、俺や俺の周りに居る人間に対して害がなければ俺は無害な存在のはず。しかし、これだけ俺に絡んで来ると言う事は……。
ヤツラの企てに取って俺が邪魔だ、と言う事ですか。
但し、そんな申し出は当然――
「その勝負受けた!」
――受けられるはずはない。そう答えようとした矢先、さっさと勝負を受けて仕舞う我らが団長殿。コイツ、何も考えていないんじゃないのか?
「おい、ハルヒ!」
流石に相手……自称ランディくんの真意は測りかねるけど、それでもヤツラの目的がロクなモンじゃない事は想像に難くない。少なくとも、魔がどのような甘言を耳元で囁いたとしても、それを毅然とした態度で撥ねつけなければならないのは世の東西を問わず常識なのですが……。
ただ、ハルヒやその他の連中が、相手が人外の存在だと言う事を知っている訳ではないので――
どのような屁理屈を使ってこの訳の分からない賭けを止めさせるか。その手立てもないまま、それでも待ったを掛ける為に口を挟む俺。
しかし――
「問題ない。要は勝てば良いだけ」
左に並ぶハルヒの方向に向き直った俺の後ろから、妙に不機嫌な少女の声が掛けられた。
そして、その声に続けられる更なる言葉。
「確かに負けなければ、相馬さんの言うように問題ない訳だから」
こちらは少し上機嫌。但し、彼女……朝倉さん自身が発して居る雰囲気は口調ほど明るい物などではなく、妙な覚悟が感じられた。
朝倉さんは現在が異常な事態が進行中だと言う事に気付いて居る。ならば、この覚悟と言うのは彼女自身が、彼女自身の今を戦い守る事への覚悟と言う事なのでしょう。そして、さつきに関しても気付いていない、と考える方が不自然だと思います。確かに、霊的な感知能力を彼女がどの程度有して居るのか、……については謎ですが、それでも名づけざられし者や這い寄る混沌に関係している可能性が大の存在が目の前に顕われて気付かないほど、能力が低い訳はないはず。
何故ならば、現在の彼女は単独で行動中ですから。関東圏でならば例えぱっと見で単独行動に見えたとしても、その実、大きなバックアップを受ける事も可能でしょうが、ここ西宮は関西。そこで相馬家所縁の者が動いて居たとするのなら、水晶宮がその存在を掴んで居ないはずはありません。
しかし、そのような報告は俺たちの元には届いてはいない。
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