第6章 流されて異界
第112話 失点
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かなりのイケメン。九組のキャプテン自称ランディくんに比べると、今打席に入りつつある青年の方が余程外国からの留学生に見える……と言う感じの風貌。何と言うか、ハルケギニア世界では良く見かけるが、日本人としては珍しい彫りの深い――所謂、濃い顔と称されるタイプのイケメンが右打席へと入った。
「プレイボール」
九組のトップバッターがヘルメットを取った後に軽く会釈を行う。その動作を確認した野球部所属の男子生徒が務める主審が、右手を高く掲げて試合開始のコールを行った。
その僅かな後。
主審のコールを待って居た我がチームのエース殿が、ゆっくりとした動作から振り被り――
この瞬間、北高校冬の球技大会野球部門の決勝戦の幕が切って落とされたのでした。
「それなら、涼宮さん。ひとつ賭けをしませんか?」
非常に爽やかな物言い。普通の女生徒なら、その容姿に騙されて、賭けの内容を深く聞く前にOKを出して仕舞いそうになる、そのような雰囲気。
但し、俺の目から見ると非常に胡散臭く、慇懃……を通り越えて、無礼にさえ感じる態度。こんな相手から持ちかけられるゲームなど絶対の乗るべきではない、と思うのですが。
何と表現すべきか……。そう、ヤツの薄ら笑いからは他者を嘲るかのような不遜な色を感じるのです。すべての存在を上から見下ろすかのような不遜な物を。これが何らかの外連味。――例えば本心を隠す為のハッタリやごまかし等ではなく、本当にそうヤツ自身が感じているのか、それともそうではないのかが、今の俺でもさっぱり分からない相手。
「何よ。聞いて上げるから、さっさと話してみなさい」
しかし――
しかし、俺の内心での考えなど顧みる訳もなく、最悪に近い答えを返して仕舞うハルヒ。こう言う手合いの話は最初から聞かないのが上策。聞いて仕舞うと相手の土俵に乗った事となるので……。
ハルヒの答えを聞いて、淡い……かなりの女性を虜にするであろうと言う微笑みを魅せる自称ランディくん。但し、これも俺から見ると、我が意を得たり……とほほくそ笑む性悪軍師が浮かべる類の笑みにしか見えない。
この手の笑みが似合うのは周公瑾と言うトコロなのでしょうかねぇ。
いや、ドイツの有名な錬金術師の魂を得た、とされる悪魔の微笑みの方か……。
「簡単な事ですよ。次の決勝戦で僕たちのチームが勝ったのなら、彼を僕たちの友達にしても良い。ただ、それだけの約束が欲しいだけです」
女子生徒しか居ない文芸部で、かなり目立つ容姿の男子転校生を囲い込むのは良くない噂が立つ原因にも成りますから。
最後にもっともらしい理由を付け足し、相も変らぬ薄ら笑いで締めくくる自称ランディくん。こいつ等、ハルケ
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