7話 「行雲流水」
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えない容姿の所為で、相手が遠慮したり実力を疑ったりで相手にしてもらえない。
外見を気にせず、更に言えば彼女と一緒に歩いても周囲の目を気にしないマーセナリーは彼くらいのものだ。
理由その二、武器。
彼女の操る携行砲だが、一度それを見たマーセナリーは多くが一緒に仕事をしたがらない。
何故かと言うとこの携行砲、狙いが大雑把な割に火力が高いので援護に向いていないのだ。他人と動くより一人で動いた方が効率がいいし、なにより誤射を恐れて誰もが首を横に振る。
理由その三、人となり。
マーセナリーは最低でも2人以上で行動するのが原則であり、その間には強い信頼関係や契約なしに成立しえない。つまり、前述のようなハンデを抱えたままに後からコンビなどに割り込むのは至難の業だ。
必然、コンビを組もうとしたら余り物同士でくっつくしかないのだが……マーセナリーの中でもさらに余り物となると、元犯罪者や人格破綻者などの危険人物しか残っていないのが実情だ。
その点で鮮血騎士と呼ばれ畏怖されている彼は、周囲が避けていると言うだけでまともな部類に入る。ちょっとカナリアへの態度に難があるが、そこは大人のこちらがぐっと堪えればいい。
それまで散々な失敗とコンビ解消を重ねてきた彼女にとっては最後の砦なのだ。
フリー活動者は人格破綻者かイロモノのレッテルを張られて後ろ指を指されるこの町で、自分もその一部に身をやつすのは絶対に嫌だ。気分が悪いし、信頼にもかかわる。何よりそんな変な男と付き合うのは女のプライドが拒否する。
(この男、決して逃すまじ!!目指せ契約延長です!!)
今はまだ付き合いが短いが、必ず彼に気に入って貰わなければ困る。
そのために、出来るだけブラッドと一緒に行動して彼を知るのが肝要だった。
――と、そこに一人の男が近づいてきた。
「あれ?ファーブルくんだ」
「どうも。いやぁ、ブラッドさんは今日もやってますね」
爽やかな笑顔の好青年が軽く手を上げて挨拶する。
流れるような短めの青髪に、何所か白衣を思わせる白い戦闘装束。
手に持ったすらりと長い槍には、あちこちに神秘数列と思われる式が彫り込まれている。
男の名はファーブル。私達と同じく「泡沫」に住む住民の一人だ。宿のメンバーの中では日が浅い方で、まだマーセナリーになってから1年少ししか経っていないそうだ。
こちらは「泡沫」に来てまだ1か月しか経っていないが、彼の落ち着いた物腰はむしろ学者のような知性が垣間見えた。その姿は部屋で読書でもしていた方が絵になりそうであり、鍛錬場という場所にはどこか不釣合いに思える。
「珍しいね。ブラッドさんに用事?それとも私かな?」
「今日の用事はブラッドさんの方です。時々練習に
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