28話:ピエロ・オブ・ナイツ
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しそれもほんのつかの間。
軋識はそのつかの間の間に釘バットを振りかぶり、ドナルドめがけて急降下する!
その重量や軋識の力に加え、落下の衝撃までもが加算された愚神礼賛は、まさに一撃必殺と表すのにふさわしい。
「うわ、ああああ!!!」
釘バットの前に大きな恐怖がドナルドを襲い、後ろへと退避させるがもう遅い。
ドガシャアン、と。
轟音を立てて、今度は二階の床が抜けた。
いや、破壊された。
当たった箇所を起点に二階の床のほとんどが破壊され、下へと落ちる。
ドナルドも直撃こそ免れたものの、衝撃をもろに喰らったため落下は避けられず、一階へと打ち付けられた。
「‥‥‥終わりだな」
静かに一階へと着地した軋識はドナルドの倒れた所に向かってゆっくり歩く。
愚神礼賛を構えて、確実に仕留めるようにゆっくりと、力を溜めながら近づく。
一歩目を踏み出したとき、ドナルドは完全に軋識の不意をつく形で跳躍し、再び二階へと戻る。
(なんだ? もうほとんど足場も無いような所に‥‥‥)
見上げた軋識は思い出す。
この家から無くなったのは一部屋分の二階の床だけではなく。
一部屋分の屋根も失われていることを。
(逃げる気か!?)
軋識は得物を握りしめ、二回目の必殺技を放つために再び跳躍する。
逃がしはしない。
先程よりも高いジャンプ。
一回目は二階からだったが、今度は一階から跳ねなければならないため、炸裂する高さは同じでも軋識の使う体力は倍だ。
空中に飛び上がった軋識は先と同じように一時空中で静止する。
しかし、空中から見たドナルドの様子は一回目とはまったく違ったものだった。
黒い、箱のような鞄を取り出していたのだ。
―――零崎軋識は運よく自分が最も得意とする得物、愚神礼賛を支給された。故に他の二つの支給品は見もせずにデイパックの中に仕舞ったままだ。
確かに零崎軋識は自分専用の武器を使う。
自分に一番馴染んだものを使う。
今回のバトルロワイアルにおいてもそうだ。一番都合のいい武器があるのにそれ以外の得物を使う道理はない。
だが。
それでも、相手の支給品に関する警戒は強めておくべきだった。
軋識のような専用武器保持者は通常と比べて他の武器への関心が薄くなるのは仕方がない。
しかしそれでも罪口のような、呪い名の作る武器というのが存在している以上未知の原理を用いた武器がこの会場に存在していてもおかしくない。
その事に、気付いておくべきだった。
まあ、結論から言えば。
ドナルドの持つ匣から出た黒い怪物は、あっさりと零崎軋識を喰らい、殺した。
「!?な、ん」
咄嗟に、反射的に出た言葉すらも最後まで言えずに、最も
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