28話:ピエロ・オブ・ナイツ
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識がその上を通るタイミングでドナルドマジックで着火して軋識の殺害を試みたのは彼である。
軋識はドナルドを視界に入れるや否や愚神礼賛を握りしめ、踏み込んだ。
『零識一賊に仇なすものは、老若男女人間動物植物の区別なく容赦なく仇なした者の周囲を含めて皆殺しにする』
ルール通りに動いたわけだ。
ちなみに勘違いを重ねてきた軋識だが、今回ばかりはドナルドを呪い名と思い込んだりはしなかった。
そもそも相手が呪い名だとわかった場合は軋識は即逃げる。戦わずに殺すことに特化し、味方に一人いるだけで多大な損害を生み出し一つの利益も生み出さないのに敵に回したらどんな被害を被るのかわからない。関わらないのは殺し名の中では常識である。
軋識がドナルドを呪い名ではないと判断した理由は二つ。
一つはドナルドが自ら爆弾を仕掛けて攻撃してきたこと。
呪い名の特徴として、決して自ら手を下さないという点がある。
時宮病院は空繰人形を使うように、
罪口商会は武器を使うように、
奇野師団は病毒を使うように、
拭森動物園が有象無象を使うように、
死吹製作所が身体支配を使うように、
咎凪党が予言を使うように、
かならず自分以外の何かを通して対象を殺す(罪口商会の人間が武器を持って直接戦うこともあるが、それは殺人ではなく武器の試運転だ)。
だから自分が戦闘を近くで見る必要はあまりないし、殺す相手の近くにいるのは得策ではない。第一こんな逃げにくい場所にいるのはおかしい。
もう一つは、ただ単に軋識の経験に基づいた観察の結果と、勘だ。
「さて、」
「かるーく零崎をはじめるちゃ」
禍々しい釘バットを構えて、
獲物を狩ることのみに集中したその目で、
愚神礼賛は殺戮を宣言した。
「フッ!!」
先に仕掛けたのはドナルド。
MUGEN由来の巧みな足運びで軋識まで肉薄する。軋識の釘バットの長さを見て、接近戦が有利だと判断したのだ。
軋識に攻撃される前に鞭のようにしなる腕を上から振るい下ろす。
「くっ、」
軋識は得物を構えていない手でそれを弾く。
しかしドナルドの攻撃は終わらない。
「ハッ!」
驚くほど柔軟な身体から繰り出されたのは、自身の足を百八十度開いて下から上へ放つ蹴り。
顎を蹴り飛ばされて宙に浮いた軋識。
「フッ」
落ちる前にドナルドが跳躍からの右腕で左の二の腕を押さえ、身体を空中で回転させながら左腕をぶつけた。当たった瞬間、軋識の身体は壁まで飛び、強い衝撃を背中に感じた。
「あれあれ、どうしたんだ?」
ドナルドが挑発すると同時に軋識は跳ね起きて跳躍する。
先程の軋識の攻撃によって屋根には穴が開いていた。軋識が愚神礼賛を最大限活用するためのスペースが確保されていたのだ。
空中で一旦静止。
しか
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