脱走
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たちに力を貸してくれんかね。組織もお前をずっと面倒できるほど、大きい器は持っちゃいない」
それでもワーストは無言だった。カペルは周囲の本をまとていると、6枚の絵を見つけた。
「こりゃぁ・・・・・・貴婦人と一角獣か?」
それをまじまじと見ていると、今まで動かなかったワーストが顔を赤らめながらカペルの手にあったその絵をとった。突然動き出したことに驚いていると、ようやくワーストは口を開いた。
「・・・・・・お前はどれが好き?」
「そうだな・・・・・・。? mon seul d?sir。我が唯一つの望みにかな。未だに望みはわかってないしよ、そういうのを考えんのロマンがあると思わねぇか?」
そう言うと今度はワーストは微笑んだ。そのことにまた驚いていると、ワーストは再び話し始めた。
「私はね。幸せになりたい。戦争をやるんじゃなくて、誰かに嫁いで、幸せな家庭を持ってみたい。戦うためだけなんて、辛いから」
「・・・・・・そうだなぁ、いつか・・・・・・そういう時代が来るといいよなぁ。だけどさ、平等じゃねんだよこの世界は。大佐はそれを正そうと頑張ってんだ。だからよ、力を貸してくれねぇか?」
そう言うとワーストは途端に悲しい顔になった。
「お前は優しい人。みんなのことを考えている。私のことも。けれど、シャア・アズナブルの計画を知ったら、貴方は・・・・・・」
「計画?そりゃどういう・・・・・・」
言おうとした時にナナイが部屋に入ってくる。
途端にワーストは身を固めて部屋の奥へと行ってしまった。
「おい、ナナイ聞いてくれよ!あいつ始めてしゃべったんだぜ!?不思議な感じだっけどよ、あいつはいい奴だ!鍛え抜かれた俺の勘がそう言ってる!」
興奮した様子でカペルがナナイに詰め寄るとナナイははいはいと適当に流し、奥に引っ込んだ番外個体を見た。番外個体は目に恐怖を浮かべながらナナイを見つめていた。
お互いに見つめ合い、番外個体が更に奥まで行ったところでナナイは舌打ちした。それを訝しげに見ていたカペルは舌打ちの音を聞き逃さなかった。
「・・・・・・ナナイ」
「何?」
「お前・・・・・・番外個体に」
何かしたか?と言おうと足を動かしたところで、カペルは床に落ちていた紙に足を滑らせて盛大にすっ転んだ。それを見たナナイは即座に引き上げるようにして、顔をカペルの顔に近づけ、耳打ちした。
「大佐がお呼びだ。この後、すぐに大佐のお部屋に来い」
「・・・・・・?」
このタイミングで何の用なのか。番外個体に力を入れろと言ったのは、何を隠そうシャア・アズナブル、我らの総帥その人だ。
そう思ったがカペルは素直に言うことを聞いて立ち上がった。
ナナイが先に
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