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銀河英雄伝説〜美しい夢〜
第十四話 思惑
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建しようと考えた。そのためには用兵に自信のある戦意の高い軍人よりも戦争の下手な軍人の方が良いと考えたのだ。

もっとも私と本部長は別だった、危機だからこそ帝国は同盟に攻めかかってくる。内乱になった時、同盟に攻め込まれないように徹底的に同盟を叩きに来る、そう思っていた。そしてその事がドーソン大将への不安へとなっていた……。

「帝国軍は出兵の準備を着々と整えているようだが……」
帝国軍が年内にも軍事行動を起こすだろうという情報はフェザーン経由で同盟に伝わってきた。総兵力二万隻、遠征軍指揮官は帝国軍上級大将エーリッヒ・フォン・ブラウンシュバイク公爵。

「宇宙艦隊司令部でもそれは認識しています。重要視していますよ」
シトレ本部長が微かに片眉を上げた。疑っているようだが嘘は吐いていない。宇宙艦隊は事態を認識している、但し本部長の認識とは温度差は有る。

「どの程度の兵力を動員するつもりだね」
そんな疑い深そうな声を出さないで欲しい。
「三個艦隊、ドーソン司令長官が指揮を執ります。司令長官の直卒部隊を含めれば総勢四万五千隻程になるでしょう。もうすぐ本部長にも連絡が来ると思いますが……」

シトレ本部長が目を見開いて驚いている。“ほう”と嘆声を上げた。
「宇宙艦隊司令部は、いえドーソン司令長官は張り切っていますよ」
「張り切っている?」
「ええ、相手は若造で艦隊司令官の経験もない素人、一つ手荒に歓迎してやろうと張り切っています」

シトレ本部長が目をパチパチしている。一瞬何を言われたのか分からなかったに違いない。そして本気かと言った表情でこちらを見た。多分本部長は呆れているのだろうがドーソン司令長官は本気だ。そして宇宙艦隊司令部にはそれに迎合している馬鹿参謀達が大勢居る。

「正気かね、ヴァレンシュタイン、いやブラウンシュバイク公はヴァンフリートでは実質一個艦隊を率いたのだろう、彼の所為でこちらは敗退した。それを素人……」
本部長は首を横に振っている。悪い冗談でも聞いた様な気分だろう。

「……皆知っているんです。ドーソン提督が司令長官に就任したのは実力を買われての事ではない、宇宙艦隊を再建するためだと。それが終われば当然ですが用済みになるだろうと。ドーソン司令長官も知っています、そして不満に思っている……」

本部長が顔を顰めた。
「つまり、ここで実績を上げて自分が司令長官に相応しい人間だとアピールしたいという事かね」
「その通りです。幸い敵は一個艦隊、二万隻です。叩くのは難しくないと司令長官は考えて居ます」
「……」

シトレ本部長がまた溜息を吐いた。こめかみのあたりを指でもんでいる。偉くなると悩みも深いか……。平凡が一番だな。
「考え方は間違っていません。大軍を以って少数を叩くのは用兵の常道です。後
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