第十四話 思惑
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そうなる。となると二個艦隊なら最低二万四千隻から最大三万隻、三個艦隊なら三万六千隻から四万五千隻を敵は動員するという事です、我々は優勢な敵と戦わなければならない」
俺の言葉にヴァレリーとメックリンガーが頷いた。ヴァレリー、俺が何故憂鬱なのか分かっただろう。向こうは一個艦隊では兵力が劣勢だが全体ではこちらを上回る、そして任務部隊も多い。つまり作戦行動の選択肢はこちらよりも多いのだ。
「確かに閣下の仰る通りです。楽な遠征ではありませんな」
「そうですね、参謀長」
「反乱軍の宇宙艦隊司令長官はドーソン大将と言いましたか、聞いたことのない人物ですが……」
メックリンガーが俺とヴァレリーを交互に見ている。ヴァレリーは同盟に居たからな、情報を知りたいのだろうが俺から答えた方が良いだろう。
「用兵家としては前任者のロボス大将よりも劣るでしょうね。どちらかと言えば後方支援の方が向いていると思いますが、小学生程度の算数が出来ないわけではないでしょう。油断は出来ません」
俺の言葉に皆が笑い声を上げた。別にジョークじゃないんだけどね。
こちらの方針は限られてくるな。敵が味方よりも多い以上正面からの殴り合いなど自殺行為に等しい、取るべき手段は奇襲か各個撃破だ。しかし奇襲にしろ各個撃破にしろ相手の油断、隙を突かなければ難しい……。頭が痛いよ。
今考えてみると原作でラインハルトが二万隻率いて遠征したのはラインハルトの失敗を願っての事だったんだとよく分かる。一万五千隻程度の艦隊を率いさせると同盟側で一個艦隊で迎え撃てば十分だなどとロボス辺りがお馬鹿な事を考えたかもしれない。
その点二万隻ならどう見ても二個艦隊以上出すだろうからラインハルトが不利になるだろうと踏んだわけだ。何も出来ずに帰ってこい、皆で思いっきり笑ってやる、そう思ったんだろうな。実際にメルカッツを始め皆がラインハルトに対し撤退を進言している。
俺の場合は最終テストみたいなもんかな。ブラウンシュバイク公爵家を継ぐのだからこの程度はクリアして欲しいって事だろう。幸い司令部幕僚や分艦隊司令官ではこちらの要望を聞いてもらっているし、皆協力的だから原作のラインハルトよりはましか。
後は実際に現場に行ってからだな。敵が分散してくるなら各個撃破だが問題は一塊になって迎撃してきた時だ。さてどうするか……。
宇宙暦795年10月 5日 自由惑星同盟統合作戦本部 ヤン・ウェンリー
統合作戦本部の本部長室に入ると本部長が無言でソファーの方へ視線を向けた。そちらに座れという事だろう。本人はそのまま机の上に置いた文書に視線を向けている。何か決裁をしているようだ、ソファーに座って本部長を待つ。五分ほどすると本部長が席を立ってこちらにやってきた。
「済まんな、呼び
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