暁 〜小説投稿サイト〜
魔法少女リリカルなのは ―全てを変えることができるなら―
第三話
[7/8]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話
もとへ向かった。

《これはこれはフェイト様、お疲れ様です》

 彼の愛機/クロス・ネクサスが丁寧な口調で挨拶をかけてきた。

「うん、お疲れ様。
朝我は……」

《ええ、お恥ずかしながらご覧の通りです》

「まぁ私も朝我と同じ状況だったら寝てたと思うから、何となく気持ちはわかるかな」

《左様ですか。
ですが、だからと言って甘やかす必要もございません。
私では起こせませんから、できればよろしいでしょうか?》

「う、うん」

 意外と主に厳しいネクサスの姿に、フェイトは若干気圧されながら地面に膝をついた。

 彼の右隣で正座をする形で座ると、暗闇ながらも彼の寝顔がハッキリと見えた。

 どこか子供っぽい可愛らしい寝顔、寝息に、フェイトの悪戯心がくすぐられた。

 そして気づけば聞き手の右手が彼の黒髪を撫でていた。

「……ふふ」

 さらさらとした髪が指を流れていく。

 そのまま彼を撫でながら手を移動させて額、瞼、鼻、頬に触れる。

「うわ、柔らかい……」

 細身で筋肉質な身体なため、きっと硬いのだろうと思っていたがそうでもなく、予想に反してぷにぷにとした感触が伝わった。

 人差し指でツンツンと突くと、彼は眉を寄せて首を振った。

 起きたか……と思いきや、再び彼は深い寝息をたてた。

「ふふ……これ以上はダメだよね」

 まだまだ触れていたい衝動に駆られながらも、フェイトは諦めて彼を起こそうと両手で彼の胸に触れた。

 服越しでも彼の硬い身体の感触が伝わる。

 女にはない硬さに、ああ、男性なんだなと当たり前のことを改めて自覚した。

「うぅ……」

 揺さぶると、彼は嫌そうに呻き声を出す。

「朝我、起きないと風邪引くよ?」

 汗がだいぶ引いているので今更感もあるが、必死に揺すると、朝我は虚ろ虚ろと目を開けた。

「ぅ……フェイト……?」

 まだ寝ぼけているのか、視界に映ったフェイトの姿が夢か現か判断できないようだ。

 そんな彼にフェイトは笑顔で答えた。

「うん、フェイトだよ」

 その言葉に心底安心したのか、彼は今までに見せたことのない笑みを見せた。

「……生きてた」

「え?
うん、そりゃ生きてるよ」

 嫌な夢でも見たのか、彼はそんなことを呟き、フェイトは現実だと示すために首を左右に振った。

「――――――――ッ!?」

 意識を取り戻した彼の顔が。

 夢から現に目覚めた彼の瞳が。

 みるみる内に透き通っていった。

 現実に戻り、そして現実にくしゃりと押しつぶされていった。

 そしてフェイトはこの時、初めて見た・聴いた。

 ――――人が、現実に押しつ
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ