来訪者編
第32話 秘密は多いけどさ
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に切り替えてくるのだろうが、それより先に『倶利伽羅剣』のアレンジ版を出して、『ムスペルスヘイム』の中に投げつける。
『倶利伽羅剣』は降魔の利剣で、魔法により改変された事象を切り裂く能力がある。このアレンジ版はさらに火に改変される前のサイオンと制御のプシオンを吸収して剣が巨大化していくことにある。火の魔法に対抗するのは最も効率の良い古式魔法のひとつだ。八尾の妖孤の時にも併用して使った古式魔法だが、あの時は妖孤のサイオン量が多すぎて、何十本作り上げたか覚えていない。おかげでこちらのサイオンはともかく、サイオンを操作するためのプシオン量を使い果たしてしまった。
その最中にもう一つの魔法を実施するために、アルバイト用のCADを操作していた。そして、準備ができたところで発動したのは『五火』の術。陰陽五行系の魔法で火による結界術としては最大級の魔法だ。ただし、これは、まだ続けている魔法の前準備。『火圏』の術をキャンセルして、次の魔法は現実世界にまで高位の精霊を呼ぶ魔法で、呼んだのは『火之迦具土神』だ。贄のかわりに『倶利伽羅剣』を喰わせて、リーナのムスペルスヘイムを喰らわせながら近づける。
「リーナ。このあたりで降参してくれないかな?」
「嫌ッよ!」
「……そうか、わかった。それなら僕の方が降参する」
そして『火之迦具土神』には現実世界からサイオン次元へ戻ってもらった。
「えっ?」
驚いていたのはリーナで、攻撃まで止めてしまった。僕の方はそれですべての魔法をやめた。
「なんで降参するのよ!」
「さっきの火の精霊をあまり長い時間現実世界にいさせると、火傷を負わすならともかく、意地をはっているリーナをプシオンごと喰ってしまうかもしれないからね」
「……」
「っというわけで、悪いけど降参するよ」
「こんなの屈辱よ!」
「そう言われてもね。九重先生、審判お願いします」
「陸名翔の負け」
「そこは勝者の名前を挙げるところじゃないですか!」
「取り決めには勝ち名乗りを上げるとはなっていなかったからね」
この性格の悪い九重先生のもと、受け入れるしかなかった。
リーナを駅まで送るのは、九重先生のモーターセダンだが、往路と違うのは、僕は助手席に座って、達也と深雪はバイクで先に帰ってしまったことだ。リーナの不信感を減らすと言う意味もあったのだろうから、九重先生もそのまま帰らせている。
駅についたところで、リーナへの情報端末と拳銃型CADの引き渡しは車外で、僕がおこなうことになった。車内で発砲されたら、匂いが移るからという理由には、さすがになんともいえない感じだったが、
「こ
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