第一部 学園都市篇
第4章 “妹達”
1.August・Night:『Passage...Lost』
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》の出方を待つ。新影流兵法の基礎、『臨機応変』を体現するべく屍食鬼の呼吸を測る。新影流兵法の基礎にして、奥秘たる一撃の為に。
「Graaaa!」
刹那、五体満足な最後の一体が飛び掛かってくる。速い、先程までの個体の比ではない。素体となった人間の基本性能が良かったのか。
「柳生新影流兵法────」
だが、見えている。端からその個体に警戒していた嚆矢は、迷わずに正調上段より長谷部を振り下ろす。
稲妻のように、その一撃は速く。
「ガ、ギャヒ─────!?」
斬り臥せる。伸ばされた腕ごと、その身を断ち斬った。
「Ghiiiiii!!!」
だが、まだ動く。屍食鬼の肉体は、致命傷を受けても尚、まだ獲物に喰らい付くべく吠え声を上げて。
「────“村雲”!」
一歩下がり、喉笛のあった空間を噛み締めた屍食鬼と目が合う。その目に映るのは長谷部の閃き。
下段からの返しの一刀で、その素っ首を断ち切る。首を飛ばされた屍食鬼は、悲鳴すら上げられずに────
『てけり・り。てけり・り!』
傷口から侵蝕を開始したショゴスに呑み込まれていく。生物も無生物も溶かし、同化するショゴスならば不死だの何だのも無意味である。
後の四体も、それでカタがつこう。幸い、動きが速いのは後一体。その個体も、既に頭部を喪っている。更に、テープ式の壁面破壊器を地面に罠として設置して下半身のみの個体の両足を引き飛ばしたフレンダと踵落としで上半身のみの個体のアタマと両腕を捻り潰した最愛も、この程度の相手に遅れを取る事もないだろう。
「……大丈夫だったかい? 怖かったね、もう大丈夫だ────」
「……はい…………っ……あの………………」
一段落がついた安堵からか、背後の存在を思い出す。時折震えた声を漏らす、小さな……まだ小学生くらいの。
最愛とそう体格に変わりはない少女に向けて、振り向き様に声を掛ける。安心させようと、精一杯に優しい声を出して。
「あの……私の事、覚えてない…………?」
「──────え?」
縋るような問い掛けを受けて、刹那────白い、白い、白い部屋を思い出す。息苦しい程に狭い、無機質な立方体の空間。見覚えが有り過ぎて、吐き気を催すほどの……実験室の記憶を幻視して。
その視界の端、自販機の脇に垣間見た気がした『異形』。場違いなメイド服を纏う、口許を押さえ
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